長崎県知事のHP注釈に批判相次ぐも中国総領事は「意味変わらず」と言明

11月12日、金子原二郎知事が9月12日の定例記者会見で、「中国は一つ」という前提
の下に台湾を中国の「一地方政府」「自治体」などと発言した問題で、長崎県側がホー
ムページ(HP)に下記の注釈を付した。

 注釈は、発言を訂正すると約束したことに違約するとともに、問題のすり替えであり、
詭弁にしかすぎないことを本誌でも指摘した。案の定、昨日の読売新聞は「『修正後も
政府見解と違う』として、『失礼の上塗り』『訂正して謝罪を』という意見が相次いで
いる」という。

 この注釈が訂正の意味をなさないことは明らかだ。なぜなら、在長崎中国総領事館の
李斌(り・ひん)領事が「注釈を加えた後も意味に違いはなく、正しい発言だと思う」
(読売新聞)と発言しているからだ。つまり、「台湾は(中国の)一地方政府」とした
金子知事の発言そのものに変更はなく、「正しい」とさえ認識しているのである。当り
前と言えば当り前で、誰が読んでもそのようにしか受け取れない、解釈余地のない注釈
だ。だから、さらなる批判も出てきている。

 再度、金子知事にHPを下記のように訂正することを要求したい。

「台湾は中国の一地方政府でも自治体でもありません。台湾に関する県の認識は日本政
府の見解と相違なく、ここでの使い方としては誤解を招きかねないものであり、今後十
分留意することとします」

 それにしても、台湾側の対応には精彩がない。台北駐福岡経済文化弁事処の周碩穎(し
ゅう・せきえい)処長は「特に言うことはない」と述べたというが、「台湾は(中国の)
一地方政府」のままとしておいていいのだろうか。長崎県側とこれ以上関係を悪化させ
たくないという思惑もあるだろうが、馬英九総統が台湾と中国の関係を「特別な関係で
あるが、国と国の関係ではない」と発言したことが影を落としていることも否めまい。

                 (メールマガジン「日台共栄」編集長 柚原 正敬)

台湾は中国ではない 金子知事は発言訂正を!

■金子知事定例記者会見(9月12日)
 台北駐福岡経済文化弁事処長の表敬訪問への対応について
 http://www.pref.nagasaki.jp/koho/governor/kaiken/20080912/20080912.html#no8

■長崎県国際課(国際交流班)
 〒850-8570 長崎市江戸町2-13
 TEL:095-895-2087 FAX:095-827-2487
 メール:s00740@pref.nagasaki.lg.jp

■金子原二郎長崎県知事
 知事への提言:https://www.pref.nagasaki.jp/koho/goiken/goiken_form.php?nshu=2


知事の台湾発言 修正後も批判相次ぐ
【11月16日 読売新聞(長崎版)

 金子知事が定例記者会見で「台湾は中国の一地方機関」などと発言したことに関し、
県HPに修正の意味を含めた「注釈説明」を追加したことについて、「修正後も政府見
解と違う」として、「失礼の上塗り」「訂正して謝罪を」という意見が相次いでいる。
                                  (津江秀晃)

 問題となったのは、9月12日の記者会見での発言。「中国は一つの国とみなしている。
台湾はそれの一つの地方機関」「台湾は一地方政府、自治体」「国(日本政府)も役人
は一切台湾には行かない」と述べた。

 注釈は今月12日午後に追加した。「県の認識は、日本政府の見解と違いはない」とし
たうえで、「知事は台湾を『地域』ととらえ『国』ではないという趣旨で述べた」「政
府幹部が台湾との往来・接触を控えている」という意味だと、釈明した。

 しかし、どんな「地域」なのかは言及しておらず、文中の「地方機関」を「地域」に
言い換えても「それ(中国)の地域」となり、やはり中国の一部と解釈できる。このた
め「アジアの地域」としている政府見解と違うとの指摘が出ている。

 台湾との友好団体「県日華親善協会」(長崎市)の浅田五郎会長(元県議)は「修正
を試みたこと自体は一歩前進と思うが、その結果、『中国の一部』と読めるため、失礼
の上塗り。勇気を出して訂正し、謝罪してほしい」と語った。

 全国知事会長の麻生渡・福岡県知事が今月、同県知事として36年ぶりに訪台したこと
を引き合いに出し、「金子知事も九州地方知事会長として、先頭に立って台湾との親善
に取り組むべきでは」と注文した。

 発言に抗議していた日台関係研究団体「台湾研究フォーラム」の永山英樹会長(埼玉
県鳩ヶ谷市)も「『(中国の)地方機関』は『(国家承認していない)地域』と同義で
はない。台湾の人たちへの配慮を欠いたことを考えれば、注釈ではなく、訂正して謝罪
すべき」と批判した。

 8月に県庁への表敬訪問を拒否された台湾の総領事館にあたる台北駐福岡経済文化弁
事処(福岡市)の周碩穎・処長は「特に言うことはない」と述べた。

 一方、在長崎中国総領事館の李斌領事は「注釈を加えた後も意味に違いはなく、正し
い発言だと思う」と語った。



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