一昨年の2016年6月に台北駐日経済文化代表処の代表((駐日台湾大使に相当)に赴任した元行政院長の謝長廷氏が月刊「正論」4月号に「中国が台湾海峡の緊張を高めている!」と題して緊急寄稿している。
冒頭、花蓮地震に対して「日本からは、次々とたくさんの温かい友情に満ちた関心が寄せられ、台湾人は大いに励まされた」と述べ、安倍総理をはじめ、政府高官が次々とお見舞いの言葉をかけたことに謝意を表している。
また、日台間の交流は、相互往来者数が651万人にものぼり、台湾への修学旅行が急増していることは、日台の「友好関係の絆の太さを象徴している」とも述べている。
このような良好な日台関係とは裏腹に、台湾に対する「台湾を自国の一部と主張する中華人民共和国の圧力」が日増しに増しているとして、世界保健機構、国際刑事警察機構、国際民間航空機関などから台湾が「排除」されている現状を切々と紹介している。
そして「台湾の安全は、日本の安全にも直結する」として、東アジアの平和と安全のために日本との話し合いが重要だと、日本の支持と協力を求めている。
台湾の駐日代表がこれまで中国を「中華人民共和国」と呼んだことはほとんどない。台湾のニュースを見てもほとんどが中国を「中国大陸」と表記している。謝長廷代表の中国認識の一端を端的に示している。
東アジアの平和と安全とは安全保障問題に深く関わるが、日本は米国のように国内法の整備がまったく進んでいない。台湾に関係する法律は一つもない。謝代表は暗に日本版・台湾関係法の制定を求めているのかもしれない。安倍制憲はこの謝代表の要望にどのような答えを準備しているのだろう。
◆月刊「正論」4月号 3月1日発売 定価778円+税 http://seiron-sankei.com/recent