米国のシュライバー国防次官補が中国から脅迫されない総統選となる措置を講じると闡明

トランプ大統領が対中強硬派として知られていたランディ・シュライバー氏を国防次官補(アジア太平洋安全保障担当)に任命したのは2018年1月8日のことだ。これで、トランプ政権の対中政策はより厳しいものになると予想された。

 案の定、シュライバー氏が国防次官補に就いて間もなくの1月19日、国防省は、ロシアと中国を「主要脅威」とみなし、インド太平洋地域を重視し、同盟とパートナーシップを拡大すると述べ、中国が「インド太平洋地域での覇権を狙い、将来的に米国に変わって世界で優位に立とうとしている」との認識を示す「国家防衛戦略」を発表している。

 米国がリムパック(環太平洋合同演習:Rim of the Pacific Exercise)への中国の招待を取り消したのも、シュライバー氏が国防次官補に就いて5ヵ月後の2018年5月23日のことだ。

 シュライバー氏は海軍情報士官として湾岸戦争に従軍後、ハーバード大学で修士号(公共政策)取得し、国防総省に入省後はクリントン政権下で国防長官補佐官や中国部長、在北京米国大使館武官などを歴任し、ジョージ・W・ブッシュ政権では国防次官補代理(東アジア太平洋担当)などを務めている。

 2008年にはシンクタンク「プロジェクト2049研究所」を創設。共和党の保守本流と言われ、産経新聞の単独インタビューに「中国船が『自由で開かれたインド太平洋』の原則や日本の施政権を脅かす行動をとった場合は『適切に対処する』」と述べ、また「日本はアジア太平洋地域で最も重要な同盟国だ」(2018年11月22日付「産経新聞」)とも表明している。

 シュライバー氏はまた台湾を重視していて、中国が台湾への軍事圧力を強めていることに対して「武器売却などを通じて台湾と軍事面での関係強化を進めていく」と表明している。

 10月1日、シュライバー氏はワシントンで開かれたシンクタンク・ブルッキングス研究所主催の米中戦略に関するセミナーにおいて「中国共産党政府が2020年台湾総統選に介入するのは間違いない」とした上で「米国の民主主義的なパートナーである台湾が、独自の地位を維持し『自由で公平な、脅迫されない』選挙が行えるよう措置を講じる」と述べ、台湾擁護の姿勢を闡明したという。大紀元紙が伝えているので下記に紹介したい。

—————————————————————————————–中国の台湾2020年総統選への介入は「間違いない」米は対策用意=米高官【大紀元:2019年10月3日】

 2020年の台湾総統選が近づくにつれて、北京は選挙結果に影響を与えようと台湾への圧力を強めている。 米国防次官補でアジア太平洋安全保障担当のランドール・シュライバー氏はこのほど、米国の民主主義的なパートナーである台湾が、独自の地位を維持し「自由で公平な、脅迫されない」選挙が行えるよう措置を講じるとした。

 シュライバー氏は10月1日、ワシントンで開かれたシンクタンク・ブルッキングス研究所主催の米中戦略に関するセミナーで、台湾に対する北京の圧力について発言した。

 シュライバー氏によると、米国は「台湾関係法」に基づいて、台湾の安全保障協力を強化することができるとした。

 また、過去の毎回の選挙と同様に、中国共産党政府が2020年台湾総統選に介入するのは間違いないとした。「今回は、ソーシャルメディアやインターネットで情報を操作するなど、複雑になる」

 9月中旬、南太平洋のソロモン諸島とキリバスは台湾と断交し、北京と国交を結んだ。シュライバー国防次官補は米議会の公聴会で、現在、台湾と国交のあるパラオ、マーシャル諸島は北京の圧力に直面していると述べた。

 米国議会はさらに、台湾との外交関係の安定を目的とする法案「台北法」の可決に動いている。米上院外交委員会は9月25日に「台北法」を可決した。法案を提出した共和党のコリー・ガードナー上院議員は、太平洋の2国の断交の背景には、中国共産党政府の圧力があり、台湾の民主主義にとって重大な脅威だとした。また、「米国は常に台湾と共にある」と語った。

 「台北法」は上下両院の本会議を通過した後、大統領の署名で発効する。

 ワシントン拠点のシンクタンク・グローバル台湾リサーチセンター客員研究者である陳方隅氏は米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)の取材に答え、中国共産党政府は国内に向けてアピールするために成功を求めていると語った。中国国内では、米中貿易戦争による経済減速、失業率の高まり、豚コレラの蔓延による物価の高騰など、国民生活に関わる問題が山積している。

 このため、台湾総統選を前に、北京は台湾の国際的な言動空間をさらに狭めていくと見ている。引き続き、ハイチやツバルなど、台湾の国交国に圧力を掛けていくものと予想する。

 いっぽう、陳氏は、こうした中国政府による他国への台湾断交の圧力は「限定的」とみている。台湾国内の最近の世論調査によると、台湾人の半数以上が国交国の減少は、台湾に影響を与えるとは考えていない。こうした国交を結ぶ国との貿易取引は多くなく、その影響は大きくないためだ。

 9月にソロモン諸島が台湾と断交を発表したのち、台湾公益財団が実施した台湾での世論調査によると、53%の人々は外交関係の減少に懸念を表明したが、半数に過ぎなかった。

 5月中旬、米国と台湾の国家安全保障担当高官が断交以来40年ぶりに米ワシントンで会談した。7月には米国防総省が、台湾へ過去最高額となる22億ドル相当の武器売却計画を米国務省が承認したと発表した。

                                 (翻訳編集・佐渡道世)


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