昨年3月の「台湾旅行法」も、両院が全会一致で可決し、トランプ大統領が署名することで成立させているが、この法案も、両院が全会一致で可決しているため、トランプ大統領が拒否権を行使しなければ自動的に成立するところを、トランプ大統領はサインすることで成立させている。この過程を見るだけで法案の重要性が分かる。
アジア再保証イニシアチブ法の内容については本誌でもたびたび言及してきたところで、インド太平洋地域への米国のコミットメントを強化・拡大することを求め、日本、韓国、豪州をはじめとする条約上の同盟国との防衛協力強化を求めるとともに、インドとの戦略的パートナーシップの強化や台湾へのコミットメントを求めている。また、インド太平洋地域において人権を促進し、民主的価値や法の支配、市民的自由を促進することを求めている。
このような国内法を定めた米国の次の一歩を注視していたところ、3月19日、米国在台湾協会(AIT)台北事務所のブレント・クリステンセン所長と呉釗燮・外交部長が外交部で記者会見を開き、台米間の対話メカニズム「インド太平洋民主的ガバナンス協議」(the Indo-Pacific Democratic Governance Consultations 印太民主治理諮商)を設立したと発表した。
中央通信社は「インド太平洋地域において人権や民主主義、良い統治など双方が共有する核心的価値観を共同で推進し、地域内の自由や法の支配に基づく秩序を守っていくことを目指す」と報じている。
米国は早速、台湾へのコミットメントを求めた「アジア再保証イニシアチブ法」に基づいて行動し、台湾との対話メカニズムのプラットホームとして「インド太平洋民主的ガバナンス協議」を成立したということのようだ。
下記に、中央通信社の記事とともに、米国在台湾協会がホームページで「インド太平洋民主的ガバナンス協議」(英文、中文)について掲載しているのでご紹介したい。
◆The United States and Taiwan to Launch Indo-Pacific Democratic Governance Consultations https://www.ait.org.tw/the-united-states-and-taiwan-to-launch-indo-pacific-democratic-governance-consultations/
◆美國與台灣攜手建立「印太民主治理諮商」機制 https://www.ait.org.tw/zhtw/the-united-states-and-taiwan-to-launch-indo-pacific-democratic-governance-consultations-zh/
—————————————————————————————–台湾、米国と対話メカニズム立ち上げ 米駐台代表、中国挑発の意図を否定【中央通信社:2019年3月19日】http://japan.cna.com.tw/news/apol/201903190006.aspx
(台北 19日 中央社)呉ショウ燮外交部長(外相)は19日、米国の対台湾窓口機関、米国在台協会(AIT)台北事務所のブレント・クリステンセン所長(大使に相当)と台北市の外交部で記者会見を開き、台米間の対話メカニズム「インド太平洋民主的ガバナンス協議」を設立したと発表した。米国側は台湾との協力関係推進について、中国に対する挑発だとみなされるべきではないとの考えを示し、米中関係とは無関係だと述べた。(ショウ=金へんにりっとう)
同協議は台湾と米国が定期的に交流をする場と位置づけられ、インド太平洋地域において人権や民主主義、良い統治など双方が共有する核心的価値観を共同で推進し、地域内の自由や法の支配に基づく秩序を守っていくことを目指す。
トランプ政権が積極的に台湾との関係を促進させる中、台湾が米国の対中外交の切り札とされるのではないかとの懸念が上がっていることを記者から質問されると、クリステンセン所長は、米国と台湾が推進するメカニズムは米台間の協力とみなされるべきであり、中国の要素は別問題と考えるべきだと説明。米国は台湾との関係を発展させると同時に、中国と良好な関係を持つことも可能だとの見方を示し、今回立ち上げたメカニズムはあくまでも米台間のものであると強調した。
(侯姿瑩/編集:名切千絵)