米国が台湾に480億円の軍事支援、国防権限法に基づき初の武器無償供与

 米国のバイデン政権は7月28日、台湾への約3億4500万ドル(約480億円)の軍事支援の無償供与を発表した。読売新聞は「AP通信によると、航空機を撃墜可能な携帯式地対空防衛システム(MANPADS)の供与のほか、情報収集・警戒監視能力の強化策が含まれる」と伝え、NHKは「今回の支援では、アメリカ軍が在庫として備蓄している武器を直接供与する枠組みを活用」する初のケースだと報じている。

 ちなみに、2021年1月20日から始まったバイデン政権の台湾への武器供与は、今年だけで3月、6月に続く3回目で、今回で11回となる。政権発足2年半でトランプ政権(2017年 1月20日〜2021年 1月20日)4年間の武器供与回数と並んだ。 ・1回目:2021年8月4日 155ミリ自走榴弾砲40輌や弾薬補給車20輌、先進野戦砲兵戦術情報システム1組などなどの供与を国防省が承認して 議会に通知。

・2回目:2022年2月7日 5年間にわたるミサイル防衛システムの維持、保全、改良を目的とした計画のための軍事関連装置とサービスを供与 することを国防省が承認して議会に通知。

・3回目:2022年4月5日 地対空ミサイル「パトリオット」に関する訓練や保守などの技術支援や関連装備の供与を国防省が承認して議会に 通知。

・4回目:2022年6月8日 中国軍の航空機や船舶による台湾周辺の海域や空域での活動が活発化していることから、軍艦を適切な状態に維持 するのに役立つ艦艇用の部品や関連装備など1億2000万米ドル(約160億6600万円)の供与を国防省が承認して議会 に通知。

・5回目:2022年7月15日 戦車や戦闘車両を補修するための整備に関する技術支援と関連装備として、総額1億800万米ドル(約150億円)規模 の供与を国防省が承認して議会に通知。

・6回目:2022年9月2日 ミサイル早期警戒レーダーシステム、地上配備型対艦ミサイル「ハープーン」、空対空ミサイル「サイドワインダー」 など総額11億ドル(約1530億円)規模の供与を国防省が承認して議会に通知。

・7回目:2022年12月6日 F16戦闘機を含む米国の技術を使用した軍用機やシステム向けの部品4億2800万ドル(約585億円)相当の供与を国防 省が承認して議会に通知。

・8回目:2022年12月28日 対戦車地雷散布装置「ボルケーノ」や重高機動戦術トラック「M977A4 HEMTT」など1億8000万ドル(約240億円)相当 の供与を国防省が承認して議会に通知。

・9回目:2023年3月1日 F16戦闘機用の対レーダーミサイル「ハーム(HARM)」100発や空対空ミサイル「アムラーム(AMRAAM)」200発、発射 装置や訓練用の模擬ミサイルなど6億1900万ドル(約840億円)相当の供与を国防省が承認して議会に通知。・10回目:2023年6月29日 焼夷曳光榴弾や多目的弾、訓練用弾の各種30ミリ弾とその関連装備、車両や武器、その他関連部材用の予備・修理用部 品など総額4億4020万ドル(日本円約637億円)相当の供与を国防省が承認して議会に通知。1ヶ月後に発効する見込み。

・11回目:2023年7月28日 米軍が在庫として備蓄している武器を直接供与する国防権限法に基づく枠組みを活用し、携帯式地対空防衛システム の供与のほか、情報収集・警戒監視能力の強化策が含まれるとする台湾への約3億4500万ドル(約480億円)の無償供与 を発表。

—————————————————————————————–米が台湾に480億円の軍事支援、初の武器無償供与…中国けん制の狙い【読売新聞:2023年7月29日】https://www.yomiuri.co.jp/world/20230729-OYT1T50247/

【ワシントン=向井ゆう子】米政府は28日、台湾への約3億4500万ドル(約480億円)の軍事支援を発表した。国防権限法に基づき、米国が台湾に無償で武器を供与する初のケースとなる。台湾への軍事圧力を強める中国をけん制する狙いがある。

 米政府は支援の具体的な内容を明らかにしていないが、AP通信によると、航空機を撃墜可能な携帯式地対空防衛システム(MANPADS)の供与のほか、情報収集・警戒監視能力の強化策が含まれる。

 米議会で超党派の合意を経て成立した2023会計年度の国防権限法には、台湾に5年間で最大100億ドルの軍事支援を行うことが明記された。米軍の備蓄から年間最大で10億ドル分の武器を無償で供与することも盛り込まれている。

※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。


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