バイデン政権が台湾に9回目の武器供与を発表

 バイデン政権は3月1日、台湾に対して9回目となる武器供与として、F16戦闘機に搭載する対レーダーミサイル「ハーム(HARM)」100発や空対空ミサイル「アムラーム(AMRAAM)」200発、発射装置や訓練用の模擬ミサイルなど6億1900万ドル(約840億円)相当を国防省が承認して議会に通知したと発表した。

 2021年1月に発足したバイデン政権の対中抑止強化は、台湾への武器供与に明確に表れている。台湾に11回も武器を供与したトランプ政権の第1回目発表は、2017年1月に政権が発足してから5ヵ月後の6月29日とさすがに早かったが、バイデン政権も6ヵ月半後の8月4日には第1回目の供与を発表している。

 下記に紹介するように、2021年8月に第1回目の武器供与から昨年12月まで8回供与し、今回が9回目となる。政権発足後まだ2年ほどしか経っていない。トランプ政権の9回目は政権が発足してから3年9ヵ月後の2020年10月だったから、供与速度はかなり上がっている。このことからも、バイデン政権の台湾有事に対する姿勢が読み取れそうだ。

◆バイデン政権の台湾への武器供与

・1回目:2021年8月4日 155ミリ自走榴弾砲40輌や弾薬補給車20輌、先進野戦砲兵戦術情報システム1組などなどの供与を国防省が 承認して議会に通知。

・2回目:2022年2月7日 5年間にわたるミサイル防衛システムの維持、保全、改良を目的とした計画のための軍事関連装置とサービ スを供与することを国防省が承認して議会に通知。

・3回目:2022年4月5日 地対空ミサイル「パトリオット」に関する訓練や保守などの技術支援や関連装備の供与を国防省が承認し て議会に通知。

・4回目:2022年6月8日 中国軍の航空機や船舶による台湾周辺の海域や空域での活動が活発化していることから、軍艦を適切な状態 に維持するのに役立つ艦艇用の部品や関連装備など1億2000万米ドル(約160億6600万円)の供与を国防省が 承認して議会に通知。

・5回目:2022年7月15日 戦車や戦闘車両を補修するための整備に関する技術支援と関連装備として、総額1億800万米ドル(約150億 円)規模の供与を国防省が承認して議会に通知。

・6回目:2022年9月2日 ミサイル早期警戒レーダーシステム、地上配備型対艦ミサイル「ハープーン」、空対空ミサイル「サイド ワインダー」など総額11億ドル(約1530億円)規模の供与を国防省が承認して議会に通知。

・7回目:2022年12月6日 F16戦闘機を含む米国の技術を使用した軍用機やシステム向けの部品4億2800万ドル(約585億円)相当の 供与を国防省が承認して議会に通知。

・8回目:2022年12月28日 対戦車地雷散布装置「ボルケーノ」や重高機動戦術トラック「M977A4 HEMTT」など1億8000万ドル(約240 億円)相当の供与を国防省が承認して議会に通知。 

・9回目:2023年3月1日 F16戦闘機用の対レーダーミサイル「ハーム(HARM)」100発や空対空ミサイル「アムラーム(AMRAAM)」 200発、発射装置や訓練用の模擬ミサイルなど6億1900万ドル(約840億円)相当の供与を国防省が承認し て議会に通知。

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