中国が台湾の総統選挙に介入する手口は、中国にある台湾企業のビジネスマンに飛行機の割引切符を配布するなどのこれまでの手口からかなり巧妙になり、中国企業を通じて中国国民党の立法委員候補者を支援するとか、一日中、某テレビ局が韓国瑜・中国国民党候補の動静を放映するよう画策するとか、SNSでフェイクニュースを流すなどの手口になっているという。
最近の例では、蔡英文総統のイギリスのロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで法学博士号を取ったことに疑惑を持ち出した件は明らかにフェイクニュースだった。
台湾にある米国在台湾協会(AIT:American Institute in Taiwan)台北事務所も、このような中国の選挙介入に警戒感を露にしていて、11月22日、クリステンセン所長が中国が台湾総統選挙に影響を及ぼそうとしていると懸念を表明したという。ロイターの記事を下記に紹介したい。
米国にとって台湾が中国の影響下に入ることは、現在、トランプ政権が日本やインド、オーストラリアとともに進めている「インド太平洋戦略」に多大な影響力を与える。
—————————————————————————————–米国、台湾総統選への中国干渉の動きを懸念【ロイター:2019年11月22日】
[台北 22日 ロイター] 台湾にある米代表機関、米国在台協会(AIT)台北事務所のブレント・クリステンセン所長は22日、中国が台湾総統選挙に影響を及ぼそうとしていると懸念を表明した。
台湾は、中国が国産空母に台湾海峡を通過させるなどし、来年1月の総統選を控えた台湾の民主化プロセスに介入しようとしていると非難している。
クリステンセン所長は、台北で記者団に対し「中国があらゆる手段を用いて台湾に圧力を掛けようとしていることを認識している。このような台湾の民主化プロセスに影響を与えようとする動きは懸念事項だ」と語った。
また、民主主義制度への不信感をあおるため偽情報を流すといった悪意のある動きがあるとの見方を示した。
中国はここ数カ月、定期的に台湾周辺に爆撃機を飛行させたり、台湾を外交的に孤立させようとしたりして「再統一」に向けた動きを強めている。
クリステンセン所長は、平和的な手段以外で台湾の将来を決定付ける動きは米国にとり「深刻な懸念」だと表明した。
総統選の世論調査では、台湾独立派の与党・民主進歩党(民進党)の蔡英文総統が、親中派の野党・国民党の韓国瑜候補をリードしている。