み込んだ見解を示した。
日本政府の尖閣諸島をめぐる立場は、実効支配していることから領土問題ではないと
いう見解だった。だが、文科省は新学習指導要領の解説書の「我が国と韓国の間に竹島
をめぐって主張に相違があることなどにも触れ」との記述の「『など』には尖閣諸島に
関する事項が入る」ことを認めたという(7月16日「毎日新聞」)。
一方、新学習指導要領の解説書に竹島を北方領土と同様に「日本固有の領土」と明記
するか否かで、結局、政府は「我が国と韓国の間に竹島をめぐって主張に相違があるこ
となどにも触れ」とし、「日本固有の領土」と明記することを避けてお茶を濁した。
本来なら、学習指導要領そのものに「我が国固有の領土」であり、韓国が「不法占拠」
していると記述してほしいものだが、それでも韓国の権哲賢駐日大使は抗議のための一
時帰国をした。いずれにせよ、韓国が反発することは目に見えていた。
問題は、この竹島をめぐる記述問題での小沢一郎・民主党代表の発言だ。小沢代表は
「日本の領土だと言うのなら、日韓でやる(話し合う)べきだ。そしてちゃんと歴史的
なことをお互いに検証して、いずれどっちかに決めなきゃいかんでしょう」と述べたと
いう。
尖閣諸島と同様、竹島が歴史的にも国際法上も日本の固有の領土であるのは明々白々
の事実。
明治38年(1905年)1月、政府は閣議決定により竹島領有の意思を確認した上で「島
根県所属隠岐島司ノ所管」と定めるとともに、その名称を「竹島」と命名。以来、日韓
の間に竹島をめぐる領土問題はなかった。ところが1952年1月、韓国は国際法に反する
「李承晩ライン」を一方的に設定、1954年には武装占拠して現在に至っているだけだ。
詳しくは下條正男氏の『竹島は日韓どちらのものか』(文春新書)を参照いただきたい。
それにもかかわらず、小沢氏は日本の固有の領土であることを明言せず、評論家のご
とく「日本の領土だと言うのなら……いずれどっちかに決めなきゃいかんでしょう」と
言い放った。この発言はいただけない。この発言には政治家としての実がない。
まるで台湾と中国の問題に関して「両岸は話し合いによる平和的解決を」と唱える日
本政府の媚中的立場を彷彿させる発言であり、平和憲法を護持していれば平和が訪れる
と信じる輩のごとしだ。高見の見物よろしく、福田政権批判にもならない的外れの発言
でもある。「小沢一郎、衰えたり」の感をいっそう深くした。
(メルマガ「日台共栄」編集長 柚原正敬)