16日の「台湾の声」に「【告発】呆れた!林志昇集団河村常夫が虚偽の宣伝」が掲載された。日
本だけでなくこの一ヶ月あまりは林志昇の嘘の宣伝が毎日のように入ってくる。台湾でなく日本に
も被害が及ぶなら徹底検証すべきだ。
林志昇の活動は以下のように要約される:
1.2006年米国地方裁判所に米国政府を告訴したが却下された。
2.2009年米国高等裁判所に上訴したが地方裁所の判決を支持。
3.最高裁に上訴したが却下された。
4.国際法に依れば台湾は天皇陛下の神聖不可分の領土と主張。
5.台湾民政府を組織したが2013年に分裂。
6.分裂した仲間が台湾民政府とは別に米国台湾政府を創った。
●林志昇の訴訟と主張
2006年10月、林志昇は米国地方裁判所に米政府を告訴した。
(A)日本はサンフランシスコ平和条約第2条bで台湾澎湖の主権を放棄したが、台湾澎湖はSFPTが
発効するまで日本領土だった。
(B)米国は戦後処理の「主要占領国」で台湾にも占領権がある。
(C)SFPT発効後も占領権は持続している、
(D)米国は台湾人に米国パスポートを発行すべき。
この争点は二つある:
米国は戦後処理の主要占領国で、今も占領権を持つと言う主張は明らかに間違いである。SFPT第
1条で「日本と連合国の戦争状態は第23条の決めるところにより終了し、日本国民の完全な主権を
承認する」と書いている。占領状態が継続して居る事実はない。
米国は主要占領国だから台湾に対しても占領権があると言う主張。
米軍(GHQ)は台湾に顧問団(Military Assistance Advisory Group:MAAG)を派遣したが占領
軍ではなかった。MAAGは平和条約締結後に解散した。占領権があったと主張しても米国領、領民で
もない。パスポート要求は根拠がない。二つとも嘘である。
●米国は「主要占領権を持続保有」と言うウソ
林志昇は米国が「主要占領国」だったことをSFPTの第4条b、第23条で証明していると主張する
が、これが林志昇の得意とする事実の歪曲である。SFPTで主要占領国(Principal Occupying
Power)と言う名詞が使われたのは第23条a「条約の批准」の一箇所だけである。
第23条は、「この条約は、日本国を含めて、これに署名する国によって批准されなければならな
い(以下略)」とある。つまり署名した国々が平和条約を批准しなければ効力を発しないと言うこ
とだ。
米国が45年から52年まで戦後処理の「主要占領国」であったとしても、今でも「占領権」を保持
している証拠ではない。林志昇は第23条で占領権が持続していると宣伝しているがSFPT第23条「条
約の発効」にその事実が見当たらない。勝手な解釈と憶測だ。
第4条b「財産の処理」で(b)日本国は第2条(領土の処分)及び第3条(沖縄の信託統治)に掲
げる地域のいずれかにある合衆国軍政府(United States Military Government)により、または
その指令によって行われた(註:過去形)日本国及びその国民の財産の処理(註:財産であって領
土ではない)の効力を承認する。第4条は財産の処理で、領土の処分は第2条で決められたものであ
る。
つまり、日本国は戦後45年から52年までの間に連合軍が日本国内及び第2、第3条にある地域で
「処分した(過去形)」財産の効力を認めたが、1952年以降も米占領軍(米国と書いていない)が
財産処分権を保有しているのではない。無いものをあると宣伝するのは林志昇の欺瞞である。たい
ていの人は条約を詳しく研究しないから、林志昇が条文を「少し改造」しても騙されてしまう。
また、林志昇は第4条bを取り上げて米国が台湾の財産処理権を持つと言うが事実とは違う。第4
条aでは「第2条に掲げる地域にある連合国またはその国民の財産は、まだ返還されていない限り、
施政を行っている当局が現状で返還しなければならない」と明記してある。つまり、台湾・澎湖の
財産は「施政当局」中華民国政府が返還すべきで、米国軍政府は財産処分に関与していない。不利
な第2条aを書かず第2条bだけで「米国の占領権」を主張するのは詐欺手段だ。
●高裁判決文を悪用
林志昇は米国高裁のブラウン裁判官の判決文で、「台湾は国ではない。台湾人は国籍がない。台
湾の住民は政治煉獄の中で暮らしている」と書いた(つまり判決した)、だから訴訟が却下されて
も勝ったのだ」と主張している。
この主張が今でも林志昇グループの主張焦点で、彼らは「ブラウン裁判官は台湾人は今でも政治
煉獄で暮らしている」と判決したと言う。判決文を読めば事実ではないとわかる。
ブラウン裁判官は判決の序文で「台湾人……云々」と書き、原告のこの主張が訴訟の要点である
ことを紹介したに過ぎない。判決文を読めばブラン裁判官が「台湾人……云々」を認めた判決をし
た箇所はない。
裁判官が台湾人の主張を認めたから、訴訟が却下されても勝ったと主張するのは嘘である。
判決文の最後に「原告側は、台湾人がフィリッピン人と同じく米国に永久忠誠を誓ったから米国
国民と同等の権利を有すると主張するのは不当である」と判決した。つまり米国の判決の後、林志
昇グループが「天皇陛下に忠誠を示す天皇誕生日祝賀団」を作っても、日本国籍を取得する権利は
ないのである。
●台湾は天皇陛下の神聖不可分の領土
米国の訴訟が不発に終わったあと、林志昇は「国際法に依れば戦争で領土の処分は出来ない。明
治憲法に依れば台湾は天皇の神聖不可分の領土である。日本政府がSFPTで台湾の主権を放棄しても
天皇の権利は存在する」と主張しだした。米国のパスポートが取れなかったから、国際法を振りか
ざして天皇の領土権を主張している。
では、林志昇はアメリカ人なのか、日本人なのか。この矛盾を説明するため林志昇は台湾は『日
属米占』、つまり日本天皇の領土を米国が占領していると言うのだ。こんなバカなことを信じる台
湾人が居て、林志昇は三年連続して12月の天皇誕生日に100人あまりの『天皇祝寿団』を組織して
宮城でバンザイを叫んでいる。天皇に忠誠を誓っても日本国籍を取れるはずがない。詐欺集団と呼
ばれるはずだ。
●国際法と明治憲法の乱用
米国の訴訟が失敗したので、国際法、明治憲法、天皇の神聖不可分の領土などと言い出したの
だ。米国でパスポートを要請したことは隠して、今では「米国が承認した」と称する台湾民政府の
身分証を発行している。
「国際法に依ればSFPTの領土処分は違法」なら国際法廷に提訴すべきである。「台湾は天皇の神
聖不可分領土」なら日本の法廷に提訴すべきである。法を論じながら法的手段を取らず、勝手な言
論を弄して台湾人や日本人を騙すのは「詐欺行為」である。
林志昇は米国が台湾に大使館を建設し、海兵隊が駐屯することになったのは米国が台湾の占領国
である証拠で、海兵隊の駐屯林志昇の台湾民政府を支持する証拠だと宣伝し、騙されて信じる人が
居る。AITに尋ねればわかる簡単な嘘である。
また、米国に於ける林志昇の訴訟は却下されたが、台湾の帰属は未決だから米国は台湾民政府の
成立を支持していると宣伝しているが、事実ではない。米国は戦後一貫して台湾の占領権が有ると
発表した事はない。証拠もないことをあるように宣伝しても台湾独立に役立つことはない。平和条
約や裁判の判決文を勝手に解釈しても、台湾人を迷わせるだけである。