来る3月11日、国立劇場で政府主催による東日本大震災2周年追悼式が開かれる。安倍政
権はこの追悼式典で台湾の待遇を見直し、昨年の一般席から外交使節団向けの来賓席と
し、国名を読み上げる指名献花に加えるようになった。
これは東日本大震災に対する台湾からの支援状況からして当然の措置で、昨日の産経新
聞がいち早く報道しているので、下記にご紹介したい。
政府の待遇見直しに対し、台湾側は外交部(外務省に相当)が歓迎の意を表するととも
に、東日本大震災の復旧作業が順調に進められるよう期待していると発表している。この
追悼式には、沈斯淳(しん・しじゅん)台北駐日経済文化代表処代表(駐日台湾大使に相
当)が参列するという。
ところで、2周年追悼式に関する報道ではどこも触れていないようだが、今上陛下は昨年
4月19日、2年ぶりに催された春の園遊会に台湾を代表して台北駐日経済文化代表処の馮寄
台(ひょう・きたい)代表夫妻を招かれた。そして、招かれた2000人の中で、陛下みずか
らが馮寄台代表にお声を掛けられている。
陛下が主催される園遊会に台湾の駐日代表が招かれるのは、日本と台湾が昭和47(197
2)年9月に断交して以来初めてのことだった。
その時にも書いたことだが、これは日本として台湾の東日本大震災支援に最高最大の感
謝の意を表したことになる。陛下は民主党政権が犯した恥ずかしい失態を見事にカバーさ
れたのだ。その上、すでに引退が決まっていた馮代表にとってこれほどの栄誉はなく、最
高の花道となった。
これで日本は救われたのである。日本人の一人として、神慮とでもしか表現しようがな
い今上陛下の思召しに改めて感謝申し上げたい。
李登輝元総統は昨年12月、訪問した本会役員・支部長訪台団(澤英武・団長、梅原克
彦・副団長)に対し「日本の救いは、国民のなかにまだ日本精神が生きていることなので
す。そして国民と苦楽を共にする天皇陛下がおられることです」と記したメッセージを自
ら配布された。
李元総統が指摘されるように、まさに「国民と苦楽を共にする天皇陛下がおられる」こ
とが日本の救いなのだ。それは、昨年の春の園遊会に台湾の代表をお招きし、お声まで掛
けられた一事に、あらあらと顕れている。天皇陛下が示されたこの思召しを、日本人は忘
れてはならない。
震災追悼式典で台湾代表、指名献花へ 昨年の一般参加から待遇見直し
【産経新聞:平成25(2013)年3月6日】
東日本大震災の発生から2年となる今月11日に国立劇場(東京都千代田区)で開かれる政
府主催犠牲者追悼式典で、献花に際して国名を読み上げる指名献花に台湾を加えることが5
日、分かった。台湾の代表者の座席も外交団向けの来賓席に用意する。民主党政権下で行
われた昨年の式典では指名献花から外すなどしたため批判を浴びたが、安倍晋三政権は待
遇を見直す。
昨年、台湾代表として出席した「台北駐日経済文化代表処」の羅坤燦(らこんさん)副
代表は一般参加者として献花。座席も各国と国際機関の代表が並ぶ会場1階の来賓席では
なく、企業・民間機関の関係者らを集めた2階の一般席だった。
台湾は震災発生後、最も早く日本への支援を表明。寄せられた義援金は各国最多とされ
る約200億円に上った。中国への配慮を優先した民主党政権による追悼式典での冷遇は、国
内外からの批判を招いた。
国会でも厳しく追及され、野田佳彦首相(当時)は昨年3月の参院予算委員会で「(台湾
側の)気持ちを傷つけるようなことがあったら申し訳ない。深く反省したい」と陳謝。
「配慮が足りなかった」とする政府答弁書も閣議決定した。