落ち着くところに落ち着いた、ということだろう。
3月11日に行った政府主催の東日本大震災1周年の追悼式において、台湾を代表して参列
した台北駐日経済文化代表処(駐日台湾大使館に相当)の羅坤燦・副代表を来賓扱いとせ
ず、指名献花からもはずした「台湾冷遇問題」が起こった。
本誌でも「顔から火が噴き出るほど恥ずかしいとは、このことだ」として、本誌読者か
らの「人間としてあまりにも非礼で許せない行為です。台湾の方々の面子を潰し、心を傷
つけ、まさに恩を仇で返しております」という憤りの声を紹介した。
翌日、藤村官房長官は「事務レベルの仕切りに問題があったとは思わない」「問題ない」
と開き直り、まさに厚顔無恥ぶりを発揮した。
だが、先の「冷遇」以上にこの発言に国民の怒りは爆発した。この国民の怒りの声が届
いたようで、昨日、この問題を指摘した自民党の世耕弘成氏が再び官房長官発言を追及、
藤村官房長官は「事務的にも問題があったことをきちんと認めお詫びしたい」と陳謝し
た。
台湾政府も「冷遇措置」を問題化しはじめたところだったので、問題をこじらせること
にはならないだろう。
これを機に、「非政府間の実務関係」と規定する日本政府の台湾認識も改めたらどうか。
実務関係といいながら、台湾に行けるのは課長までと外務省の内規で定めている。実務関
係なら、局長や事務次官クラスまで行けるようにならなければならないが、手かせ足かせ
を自らにはめて「実務関係」を進めようとしている日本の姿勢はおかしい。歪んでいる。
台湾冷遇、発言を撤回 藤村長官「事務的に問題」
【産経新聞:平成24(2012)年3月15日】
東日本大震災一周年追悼式典で台湾代表として出席した羅坤燦(ら・こんさん)台北駐
日経済文化代表処副代表が指名献花から外された問題で、藤村修官房長官は14日の参院予
算委員会で「配慮が足りなかった点についてはおわびしたい」と陳謝、13日の「事務レベ
ルの仕切りに問題があったとは思わない」との発言を撤回した。
12日の参院予算委で問題を取り上げた世耕弘成氏(自民)が再び追及した。藤村氏は、
指名献花での対応を「事務的に問題はなかったが、もう少し配慮があってしかるべきだっ
た。新聞報道は発言の一部で私の言ったこととちょっと違う」と強弁。羅氏を1階の来賓
席ではなく2階の一般席に案内したことも「何か問題があったということではない」と開
き直った。
ところが、世耕氏が「記者会見で明言したではないか」と迫ると、藤村氏は「式典の運
びに配慮が足りなかったことは問題で反省材料としたい。事務的にも問題があったことを
きちんと認め、おわびしたい」と渋々発言を撤回した。
一方、野田佳彦首相は「私はやはり失礼があったと思う。きちんとご案内しなかったこ
とも含めて心からおわびしたい」と陳謝。藤村氏の13日の発言についても「誤解を招いた
ならば申し訳ない」と述べた。