の第190号「特集/台湾前総統、『李登輝氏』訪日」に掲載された甲南大学5年の坂直純
氏による「李登輝前総統の靖国神社参拝の意義」の続編を紹介したい。
なお、文中の漢数字を算用数字に改め、読みやすくするため改行を施すなど、いささ
か編集させていただいたことをお断わりします。 (編集部)
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李登輝前総統の靖国神社参拝の意義【下】
甲南大学5年 坂 直純
■台湾人の慰霊の心を代表した李氏
李登輝氏は国家のために命を捧げた方々を純粋に慰霊することは当然であり、他国か
ら内政干渉されるようなものではないと身をもって示された。
大東亜戦争において当時日本人として戦い散華された台湾人は約3万3千人といわれる
(編集部注:厚生省が昭和48年4月に発表した台湾出身戦歿者数は30,304人)。高砂義勇
隊という台湾原住民による部隊などは、戦場の前線などでも日本人以上に勇猛果敢だった
ため、6千人といわれる内の約半数が亡くなられたという。その御霊も当然靖国神社で祀
られているのである。
そのためこれまでにも台湾人の方々は、大東亜戦争で亡くなられた英霊を慰霊しよう
と、ずっと靖国神社での参拝をなされてきた。つまり、李氏が靖国神社を参拝したこと
は何も特別なことではなく、これまで粛々と行ってきた台湾人の慰霊の思いを代表して
伝えるものだったのではないだろうかと思う。
■「運命共同体」としての日台関係
中国はいまも台湾領有を主張し続けており、毎年10パーセント以上といわれる軍拡を
背景とした武力で台湾を恫喝している。もし中国による台湾侵略が現実となれば、日本
は台湾海峡を通ってくるシーレーンを中国によって遮断されてしまい、日本は石油輸入
の大部分を依存する中東からの輸入航路を遮断されてしまうことになる。台湾の死とは
即刻日本の生存問題にまで発展するものなのだ。つまり、日台は文字通り運命を共にし
ている「運命共同体」である。
そして、大東亜戦争のときにも日台はまさしく運命共同体として戦い、日台の多くの
先人が台湾を守るために命をおとされた。いま戦後60年を経て再び、運命共同体として
のあり方が日本人に問われていると思う。
日本を守ろうと純粋な思いで戦われた台湾人の英霊の方々は、いま台湾の置かれた苦
境に私たちが目も向けないようではどれほど嘆かれるだろうか。今一度私たちは学生と
して台湾をめぐる問題を真剣に考えていく必要があると思う。