県石垣市招聘事業実行委員会代表世話人」で全国青年市長会会長をつとめる吉田信解(よしだ・し
んげ)埼玉県本庄市長と、実行委員会副代表世話人で 全国青年市長会副会長をつとめる中山義隆
(なかやま・よしたか)石垣市長の熱意によると言って過言ではない。
吉田市長は本会理事でもあり、実は昨年12月ころから李元総統招聘の相談を受けていた。講演会
の冒頭、主催者としての開会挨拶でその経緯を紹介し、講演の意義に言及している。全文を紹介し
たい。
なお、主催者挨拶のタイトルはなく、編集部で付けたことをお断りする。
李登輝元総統を石垣にお迎えして
吉田 信解
本日、沖縄県石垣市において、台湾元総統李登輝閣下の講演会を盛大に開催できますことは、主
催者としてこの上ない喜びであります。
李登輝閣下、奥様、ご家族の皆様、ようこそお越し下さいました。主催者を代表して心から歓迎
申し上げます。
ご当地石垣市の中山義隆市長をはじめとする地元の皆様、今回の開催を共に心からお慶び申し上
げます。また自由民主党沖縄県連会長、衆議院議員西銘恒三郎先生、元沖縄県知事、稲嶺恵一様を
はじめ、県内各地からご参加下さいました皆様には、李登輝閣下の8年ぶりの沖縄県ご訪問、誠に
ご同慶に堪えない次第であります。
また、共催いただいております日本李登輝友の会の渡辺利夫会長、そして大変お忙しい中、台北
駐日経済文化代表処代表、私はあえて駐日台湾大使とお呼び申し上げたい謝長廷閣下をはじめ、日
本と台湾との友好を推進されている両国の政府関係者また現職、元職の国会議員、立法委員の皆
様、さらには全国市長会副会長、山口県防府市の松浦正人市長はじめとする日本全国からお越しの
市長、地方議員そして経済界の皆様、そして共に李登輝閣下を尊敬し、共に日台の更なる交流の増
大ときずなの深まりを望む、ご参会の全ての皆様、本日は誠に有難うございます。
ご紹介が最後になりましたが、本日は日台友好を願う多くの台湾の皆様にもご参加いただいてお
ります。歓迎光臨、大家好! 皆様を心から歓迎いたします。
申し遅れましたが、私は今般の招聘事業の実行委員会において代表世話人を務めております、全
国青年市長会会長、埼玉県本庄市の市長の吉田信解です。私の方から、今般の事業開催に至った経
緯について以下簡単に申し上げます。
昨年7月22日、本日もお越しいただいております前参議院議員、江口克彦先生の大変なご尽力
と、衆議院議員の岸信夫先生はじめ多くの衆参両議員のご理解とご協力により、李登輝閣下の国会
議員向けの講演会が盛大に開催されました。私はこのことに深く感銘を覚え、国会議員の次は、自
分が会長のお役をいただいている40歳代までの市長の全国組織、全国青年市長会の仲間と共に、地
方の政治家、経済人向けのご講演を、李登輝閣下から賜れないだろうか、と思いました。
このことを青年市長会副会長であるご当地の中山市長と相談し、その後、本日参加している青年
市長会メンバーからも背中を押していただき、ぜひ実現させたいと思い立ったのが本事業のきっか
けであります。
その後、本事業は日本李登輝友の会の共催をいただき、柚原正敬事務局長、また台湾側では李登
輝基金会の早川友久秘書をはじめとする、それぞれの関係各位の全面的なご支援と、地元石垣市に
おいては大浜一郎代表幹事をはじめとする八重山経済人会議の皆様の大変なご尽力をいただき、構
想と計画を進めて来ることができました。
何より、昨年末に一時ご体調を崩されるも、その後順調にご快復された李登輝閣下ご自身から、
5月2日に石垣市ご訪問への力強いご決断をいただいたこと、誠に有難く存じます。ここに改めて数
多くの皆様方のお蔭を持ちまして本講演会が開催できますことに、心から御礼を申し上げる次第で
す。本当に有難うございました。
さて、台湾において蔡英文新総統がご就任されて2カ月余りが経ちました。
自由、民主、人権など、人類の普遍的価値を共有する日本と台湾の間に、その友情を深めること
を妨げるものは何もありません。
近年、中国は覇権的な行動で東アジアの平和を脅かしております。私たちは国際社会の平和と安
定を強く望んでおります。そしてどの国民も自由で民主的な社会において、各々その志を遂げる権
利を、本来等しく有しており、さらに、そのような社会は、とりもなおさず国民の手で築き上げ、
かつ、しっかりと守っていかなければならないと考えます。
李登輝閣下は、かつて台湾の総統として、志のある学生や民衆の力を最大限活かし、台湾民主化
への道を切り拓かれました。同時に、子供たちの歴史教科書の大幅な改定により、日本統治時代を
客観的に評価しつつ、台湾に住む全ての人々の誇りとアイデンティティの醸成に力を注がれまし
た。そして、中国からの理不尽な圧力には断固たる決意で臨み、すでに独立した一つの国家である
台湾の存在感を内外に知らしめました。さらに、閣下ご自身が愛してやまない日本への直言は、多
くの心ある日本人に感動と勇気を与えて続けています。
そのような敬愛してやまない閣下から、本日は「地方から発信する日台交流の深化〜石垣島の歴
史発展から提言する日台交流のモデル」と題してご講演いただきます。
人類の普遍的価値を共有する日本と台湾との関係を、地方レベルでも大いに深めてゆくことは、
日台の交流の増大と絆の深まり、さらには東アジアにおいて、自由で民主的な社会をより充実し拡
大しそして守るためにも、大いに意義のあることと言えるでしょう。
今般の閣下のご講演は、この石垣市から日台ばかりか、民主化と自由な社会を願う東アジア全体
の人々にとって、将来にわたる大きな福音となる、そう私達は確信しております。
さて閣下は御年93歳。戦前の京都帝国大学に学ばれた、教養あふれる哲人政治家であられます。
日本人よりも日本人らしい閣下のお話を拝聴することで、我々は自分たちの先人が切り拓いてこら
れた歴史に誇りを持ち、それを更に次世代につなげていく勇気を得ることができるものと確信しま
す。本日は閣下の御著書をロビーにて販売しております。ぜひ皆様には、ご講演と合わせて、現代
日本人に対し勇気を与えていただける数多くのご高説に触れていただきたく、ご案内申し上げま
す。
最後になりますが、閣下をはじめ閣下と同世代の台湾の方々は、戦後もなお、日本への熱い期待
と思いを持ち続けて来られました。この基礎があって、台湾における親日感情は幾多の嵐にも耐
え、見事に醸成されたのであり、それは東日本大震災という危機の時にも発揮されたのでありま
す。改めて、閣下そして閣下に代表される数多くの台湾の戦前戦中世代の皆様すなわち我々日本人
の大先輩方に、深甚なる感謝の誠を捧げ、日台間の更なる関係の強化のために努めて行くことを皆
様方と共に決意し、主催者代表のご挨拶とさせていただきます。
本日はどうぞよろしくお願い致します。有難うございます。多謝多謝。