李登輝元総統の許水徳氏の勲記・勲章伝達式におけるご祝辞全文

本誌7月4日号で、6月30日、台湾人として初の旭日大綬章を受章した許水徳氏への勲記・勲章の
伝達式が交流協会台北事務所において行われ、沼田幹夫代表から勲記と勲章が手渡されたことをお
伝えした。

 この伝達式には、李登輝・元総統をはじめ、王金平・立法院長、伍錦霖・考試院長、張博雅・監
察院長、林永楽・外交部長などそうそうたる方がお祝いに駆けつけ、李元総統が来賓代表として挨
拶されたこともお伝えした。

 その後、本会台北事務所が、李登輝総統事務所の好意により当日の李登輝総統のご祝辞全文を入
手し、転載の許可をいただいた。ここにその全文を掲載してご紹介したい。

 驚いたことに、このご祝辞の中で、当時の李総統が、民主化を求める激化したデモを沈静化し、
かつ民主化の芽を摘み取らないようにするため、人命尊重を基本理念とする警備方式を取っていた
日本に、内政部長だった許水徳氏を秘密裡に派遣して導入したという、戦後日台関係史の隠れたエ
ピソードを明かされている。李元総統にはまだまだお元気なうちに、このような秘話を後世に伝え
るべく書き残し、また機会があれば明らかにしていただきたいものだ。

 なお、本会ホームページでも許水徳氏への勲記・勲章伝達式の模様と李登輝元総統のご祝辞全文
を掲載している。

 また、本誌では許水徳氏の伝達式と同時に、李登輝元総統令孫の李坤儀さんがすでに婚約し、年
内に結婚式を挙げられることを伝えた際、「2007年5月に中嶋嶺雄・国際教養大学学長のお招きで
来日し、奥の細道をたどった際も李坤儀さんを伴われていた。そのとき李坤儀さんが、同行されて
いた台湾独立建国聯盟主席の故黄昭堂先生と、まるで叔父さんと話すように親しく話していたこと
を今でも鮮やかに思い出す」と記した。

 本会ホームページでは、本誌の上記記事に加筆し、新幹線ホームで談笑する黄昭堂先生と李坤儀
さんの写真と、靖國神社を参拝される李登輝元総統ご夫妻と李坤儀さんの写真を掲載している。併
せてご覧ください。

◆李登輝総統、許水徳氏の叙勲伝達式に出席
 http://www.ritouki.jp/index.php/info/20150702/

◆李登輝総統ご夫妻の孫娘、坤儀さんが結婚へ
 http://www.ritouki.jp/index.php/info/20150707/


 会場にお集まりの皆様、こんにちは。

 本日、許水徳先生への叙勲伝達式にあたり、お祝いの言葉を申し上げます。

 許水徳先生におかれましては、旭日大綬章の受章、誠におめでとうございます。心よりお祝いを
申し上げます。また、長年にわたり許先生を支えて来られた奥様の内助の功にも敬意を表したいと
思います。

 許水徳先生が受章された旭日大綬章は、これまでの台湾の叙勲者のなかでも最高位と伺っており
ます。

 駐日代表や亜東関係協会会長、台湾日本研究学会理事長など、特に日本と台湾の関係において大
きな功績を残されてきた許先生が受章するにふさわしいものと言えましょう。

 また、許先生は、私の総統在任中、駐日代表や内政部長、考試院長として、台湾社会の民主化を
進めていた私を大きく助けて下さり、台湾の発展に多大な貢献をされました。

 特に、日台関係における許先生の功績は膨大すぎて、この場では取り上げ切れませんが、ひとつ
だけ、おそらく余り知られていないであろうというエピソードをご紹介したいと思います。

 1980年代末から90年代初頭にかけ、戒厳令が解除されると、台湾社会にはやや急進的な民主化の
波が押し寄せました。

 私は、動員戡乱時期臨時条款を撤廃して両岸の内戦状態を終結させるとともに、万年国会を解散
させ、言論の自由を実現させました。

 ただ、その一方で、台湾社会においては過激な民主化運動に拍車がかかり、あちこちでデモが繰
り返されるうちに、騒乱状態に陥る場面が出てくるようになり、私は頭を痛めました。

 民主化を求める人々を押さえつけ、多くの負傷者を出すようなことで、民主化の芽を摘み取るよ
うな、逆行した行為はしたくない。

 しかし、激化するばかりのデモを押さえなくては、社会の治安は崩壊し、民主化が頓挫する恐れ
があったのです。

 そこで私は、当時、内政部長の任にあった許先生に、秘密裏に訪日してもらい、日本との太いパ
イプを生かしつつ、1960年代の安保闘争などで豊富なデモ警備経験のある日本から、内々に日本の
警備警察技術を導入することに成功したのです。

 許先生によって、ただちに必要な装備や資材が調達され、日本式の機動隊も急遽編成され、さっ
そく訓練が始められました。

 その結果、軍部からは「再び戒厳令が必要」という声も上がり始めていたなか、日本の人命尊重
を基本理念とする慎重な警備方式が導入され、一人の死者を出すこともなく、激化したデモを沈静
化することに成功したのです。

 こうして台湾社会をいち早く安定させることに成功した結果、私は治安維持の面には、いささか
も心配することなく、安心して民主化を推し進めることが出来たのです。

 私は総統在任中の12年間、台湾を「夜、安心して眠れる社会にしたい」と、そればかりを求めて
職務に励んできました。

 今日、民主的かつ自由な台湾が打ち立てられた背景には、平和的な民主化の実現に大きく貢献さ
れた許先生の存在があったことを、ここで皆さんにお話ししておきたいと思います。

 最後になりますが、許先生、奥様、ご家族の皆様、本日は誠におめでとうございます。

 以上で、私のお祝いの言葉といたします。

                                 2015年6月30日

                                        李 登輝


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