【NHKニュース:9月21日 】
5年ぶりに日本を訪問している台湾の李登輝元総統は20日に大阪で講演し、日本政府が閣議決定
した集団的自衛権の行使容認について、「中国は軽率な行動に出られなくなり、地域の安定に寄与
する」と述べて歓迎しました。
19日から5年ぶりに来日している台湾の李登輝元総統は、20日に大阪で講演を行い、およそ1600
人の聴衆を前に、アメリカは経済力の低下から単独で世界の主導的な役割を果たす力を失っている
と主張しました。
一方で、存在感を増している中国については「役人の腐敗や信じられないほどの環境汚染など、
とても国際社会での責任ある役割を任せられない」と批判するとともに、軍事力の強化や、南シナ
海などの領有権を巡る強硬な姿勢に強い危機感を示しました。
そして、日米同盟を強固なものにする必要性を訴え、日本政府が閣議決定した集団的自衛権の行
使容認について、「中国は軽率な行動に出られなくなり、地域の安定に寄与する」と述べ、中国軍
の動きをけん制する効果が期待できるとして歓迎しました。
さらに李元総統は、台湾を含む東アジアの平和のためにも「日本は憲法を改正して、真の自立し
た国家となるべきだ」と述べました。
「安倍首相の活躍に期待」李登輝氏東京講演
【産経新聞:2014年9月21日】
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140921/chn14092122440004-n1.htm
写真:来日し講演する台湾の李登輝元総統=21日、東京都千代田区の大手町サンケイプラザ(蔵賢斗撮影)
来日中の台湾の李登輝元総統(91)は21日、東京都内の「大手町サンケイプラザ」で講演し、日
本の集団的自衛権の行使容認は日米同盟を強固にするものだとして、「決断した安倍晋三首相に心
から敬意を表したい」と語った。
李氏は「くしくも今日は安倍首相の60歳の誕生日だ。さらなる活躍を台湾から期待している」と
安倍首相にエールを送った。
李氏は「国際政治では力の均衡は無視できず、武力の必要性は排除できない」と防衛体制強化の
必要を強調。1996年に台湾で初めて行われた総統直接選挙に際し、中国が弾道ミサイルの発射など
で威嚇したことを振り返り、「私が強い信念と手段をもって対抗したからこそ、民主選挙が実現し
た」と述べ、安全保障を確保する上で政治指導者の決断力が重要だと指摘した。
その上で、重ねて日本に憲法改正による「自立」を要求。「それが結果的に東アジアの平和と安
定につながり、日本と台湾にさらに良い関係をもたらす」と訴えた。
李氏は同日、大阪から東京へ東海道新幹線の最新車両「N700A」で移動した。李氏は乗り心地
は「非常にいい」と語った。(田中靖人)