しかし、朝日新聞は「中国の対応は、李氏の来日後の言動にかかっている」とか「公職
にない李氏は形式上は私人だが、独立派政党「台湾団結連盟」の精神的指導者で、次期
総統選の与党民進党候補、謝長廷(シエ・チャンティン)氏とも親しい李氏には一定の
政治的影響力がある」などと書き、なんとか中国の反応を引き出して訪日に混乱をもた
らそうという底意が透けて見えるような書き方だ。
林建良氏もそこまで中国様に媚びなければならないのかと疑問を呈しているが、日本
の一部マスメディアの「いやらしいご注進」主義は、本当に品がない。だから媚中新聞
と蔑まれ、中国に手玉に取られるのだ。自主独立の毅然とした報道ができないのか。
下記に、その記者会見の模様を報道した読売新聞と共同通信を掲載した山梨日日新聞
を紹介する。共同も今回の訪日報道の最初は「李氏を『台湾独立勢力の代表的な人物』
とみる中国政府の反発は必至だ」(5月3日)などと書いていたが、意外とまともだった
ことにいささか驚いた。李登輝前総統の訪日に対して、水面下での中国政府からの攻撃
に、日本政府の姿勢が揺るがないことを確認できたからであろう。
(メールマガジン「日台共栄」編集長 柚原正敬)
中国に媚びるNHK いやらしいご注進
【5月25日 メールマガジン「台湾の声」編集長 林建良】
今朝のNHKニュース番組で、李登輝氏の30日からの訪日を報道し、最後に「中国からの
反発の可能性もある」と、一言をつき加えた。
李登輝関連の報道になると、日本のマスコミが決まって、「中国からの反発が予想さ
れる」などのいやらしいご注進をする。そこまで中国様に媚びなければならないのか。
日本のマスコミに品格というものがあるのか、甚だ疑問だ。
李登輝前台湾総統、3テーマで講演へ 訪日前に会見
【5月24日 読売新聞夕刊】
【台北=石井利尚】台湾の李登輝前総統(84)は23日、30日からの日本訪問を前に読
売新聞などと会見し、6月9日までの訪問中、「日本の教育と私」「後藤新平と私」「20
07年とその後の世界情勢」の三つのテーマで講演することを明らかにした。
「世界情勢」の講演については、東アジアでの日本と中国の主導権争いや台湾の情勢
についても言及する意向を示した。
李氏は、総統退任後の2度の訪日では、中国政府の反発などに配慮し、講演や記者会
見を行わなかった。今回は記者会見も行う。
日本は良い国、頑張れ 訪日前に李登輝前総統
【5月24日 山梨日日新聞】
【台北23日共同】台湾の李登輝前総統(84)は23日、今月末からの訪日を前に一部
日本メディアのインタビューに応じ、日本での初の講演で「(終戦前に)わたしが受け
た日本の教育や文化について話し、日本は良い国だ、頑張れと伝えたい」と抱負を語っ
た。
李氏は5月30日から6月9日まで訪日し、東京都内などで講演、松尾芭蕉の「奥の
細道」ゆかりの宮城、岩手、秋田の各県などを訪問する。
親日派の李氏は訪問の目的について「『奥の細道』を見たいとずっと思っていた。日
本の多くの人がわたしを歓迎してくれてもいる」と述べた。
今後のアジア情勢については「米国はイラクから足抜けできず、アジアでは中国と日
本の主導権争いが激しくなり、第2次世界大戦前に戻る」と予測。「台湾はこの変化に
対応しなければならないが、内部でけんかばかりだ」と台湾の与野党間の争いを批判し
た。