月刊「MOKU」で許世楷大使と金美齢さんが「祖国の独立!」と題して対談

「MOKU」という月刊誌がある。その8月号で台北駐日経済文化代表処の許世楷代表
(台湾大使に相当)と評論家で前総統府国策顧問の金美齢さんが「祖国の独立−台湾の
独立主権国家への闘い」と題して対談している。

 お二人は台湾独立建国運動の40年来の盟友である。対談では、それこそ気の置けない
間柄を示すように、初対面のときに当時の許大使が金さんに「君は僕の家内にちょっと
似ているよ」と言ったことを披露しつつ、金さんは「この人は愛妻家なのよ」とことも
なげに言う。台湾の政府批判をしたら即逮捕・銃殺の時代を共に生き抜いてきた同志だ
からだろうが、読んでいてお二人の信頼関係が伝わってきて心地よい。

 しかし、仲の良いお友達同士の昔話ではない。現在の台湾の現状を的確に、そして鋭
角的に抉り出している。

 許大使は、国際社会が台湾を国家として認めない現状について、様々な例を引きつつ
「なぜ国際社会は台湾を国家ではないといい切れるのか」と迫り、台湾の独立に関して
は「憲法がきちんと変えられ、あるいは制定され、施行されたときに、名実ともに台湾
の独立が果たされたことになりますね。いまは本当の独立への最終段階にあるというこ
とです」と、憲法問題の解決がそのターニングポイントだと指摘する。

 一方の金美齢さんも「独立国家として国際社会に復帰するためにはどうすればいいか
ということが、今後の台湾の喫緊のテーマ」と述べ、「ただ問題はね、国際社会に、ま
してや国連に台湾という名義で加盟するというのは、まず台湾自身が台湾という名前に
変えなきゃならないし、憲法も全部改正しないことには、胸を張って『私たちは台湾で
すから、新規加盟します』といえないわけよ。パスポートに象徴されるように内部的に
は中華民国を名乗っていて、しかも中華民国憲法で国を動かしていて、外へ出たときだ
け『うちは台湾です』なんていったって、それではどこも通らない。この問題の本質、
根っこはそこにあると思いますよ」と、独立の問題点を根底から指摘する。

 憲法に関しては、許大使の発言を受けて金さんが、かつて許大使が台湾の憲法草案を
書いて、鄭南榕氏が発行・編集長を務めていた「自由時代」に掲載されたことなどを紹
介する。やはり、お二人の息はぴったりだ。

 この対談には、許大使の憲法草案を掲載したことで、後に「100%の言論の自由」を求
めて自決した鄭南榕氏の写真も掲載している。自決したころならまだしも、最近の一般
誌に鄭南榕烈士の写真が載ったのは、この「MOKU」以外に知らない。

 お二人の対談は10ページに及んでいる。台湾の歩んできた戦後史と現在抱えている問
題、それに対して日本はどうすべきなのかなどについて、すこぶる有益な発言に満ち満
ちている。一読をお勧めしたい。

 なお、月刊「MOKU」は毎月1日発売 1冊1,800円(税込)。お申し込み・お問い合
わせは下記へ。詳しくは公式サイトをご覧下さい。

・フリーダイヤル 0120-736610
・FAX 03-5840-7367
・メールアドレス:info@moku-pub.com
・公式サイト:http://www.moku-pub.com/

                   メールマガジン「日台共栄」編集長 柚原正敬



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