書評:年代順に歴史用語を解説、日本語版『台湾史小事典』[台湾週報]

【2月16日 台湾週報】

 『台湾史小事典』の原著は、台湾の中学校の歴史教科書の副読本として編纂され、呉密
察・台湾大学歴史学部教授による監修の下、2000年に台湾・遠流出版公司から出版された
ものである。

 この著書の特徴は、「台湾史年表」と「台湾史辞典」が合体した構成になっていて、西
暦230年〜1995年まで年代順に台湾史をひも解く重要なキーワードを引くことができるよう
になっていることだ。

 日本でも台湾の歴史に対する関心は高まっているが、これまで台湾史がコンパクトにま
とめられた手引き書は非常に少なかった。

 『台湾史小事典』日本語版は、元NHK報道局外信部記者としてアジア地域に関連する
ニュース番組制作に携わった横澤泰夫・熊本学園大学外国語学部東アジア学科教授によっ
て編訳され、原著にはなかった1996年〜2006年の歴史は訳者が加筆補充し、政権交替後の
台湾現代史のダイナミックな動きについてもカバーされている。

 歴史用語や事件の記述はいたって客観的であり、背景が丁寧に解説されている。文字文
献がほとんど残っていない史前時代や原住民についての記述量は少ないものの、清代、日
本時代にそれぞれ約90ページ、戦後に約80ページを割いている。特に台湾における日本時
代は、台湾の歴史を理解する上で非常に重要な意義をもつ一方で、近代日本が歩んできた
歴史でもあり、日本人にとっても興味深い内容となっている。

 年表の条目は947、歴史辞典項目は649という台湾史を理解するために必要な情報を網羅
した大変充実した内容でありながら、総ページ数は323ページと、持ち運べるサイズにまと
められているのがうれしい。

『台湾史小事典』
監修:呉密察
編著:遠流台湾館
日本語版編訳:横澤泰夫
出版社:中国書店
定価:2800円+税
2007年2月11日 初版発行


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