総力大特集は「朝日も野党も要らない!」として、森友問題の籠池氏長男の籠池佳茂氏が小川榮太郎氏との対談「両親は安倍総理夫妻に謝れ!」や櫻井よしこ氏と有本香氏の対談「小池都知事 五輪と築地で絶体絶命」、恵隆之介氏の「沖縄『慰霊の日』、NHKの超偏向報道」、阿羅健一氏「南京大虐殺記念館を訪れた福田康夫元総理の過ち」などかなり興味深い記事を掲載している。
この大特集とほぼ同じ大きさの活字で紹介しているのが、李登輝元総統の沖縄ご訪問時におけるご講話3本。花田紀凱(はなだ・かずよし)編集長によれば、3本とも中国の覇権主義について鋭く言及していたので一挙掲載したとのこと。
昨日、来年(2019年)8月に台中市で開催予定の国際スポーツ大会「東アジアユースゲームズ」が中国の反対で中止されることになったというニュースが流れた。このような中国の覇権主義的行動を見聞きするたび、李元総統が沖縄で「中国の独裁政権がその覇権主義的な野心をアジアにまで広げようとする企てには断固として反対します。……同時に、中国の人々に民主主義と自由の本当の価値を伝え、民主主義あってこそ本物の自由が手に入る、ということを呼びかけていかなければなりません」と、声を裏返らせながら涙声で訴えられた李元総統のご講話を思い出す。なんとしてもこの存念を日本人に伝えたいという思いがひしひしと伝わってくるご講話だった。
また、昨年7月に亡くなられた蔡焜燦先生の一周忌を迎え、この号では小特集として「『老台北』一周忌に寄せて」を組み、台湾歌壇前事務局長の三宅教子さんによる「蔡焜燦先生の『日本精神(リップンチェンシン)』」と、お父上で本会元会長の故阿川弘之氏の娘さんで、作家・エッセイストの阿川佐和子さんによる「蔡さんと出来なかったジャンケン」の2本を掲載している。三宅さんのは書下ろし、阿川さんのは昨年10月に日本で開いた「蔡焜燦先生を偲ぶ会」のときのスピーチをまとめたものだ。
三宅さんのご寄稿は、蔡先生のお人柄を的確にかつ丁寧に紹介されていて、よく観察されているなと頷きながら一気に読みました。阿川さんのスピーチも、持ち味の軽妙さの中にもしっとり感があり、まさに一周忌に相応しい一文と拝読。
昨年の「蔡焜燦先生を偲ぶ会」では、この阿川佐和子さんはじめ、渡辺利夫(日本李登輝友の会会長)、吉田信行(元産経新聞台北支局長)、金美齢(評論家)、門田隆将(ノンフィクション作家)、三宅章文(不二歌道会)、永山義高(元週刊朝日編集長)、池辺史生(元週刊朝日副編集長)などの各氏とともに花田編集長にもスピーチしていただいたが、泣きながら話されていた花田氏の姿は今でも目に焼き付いている。蔡焜燦先生への思いの深さが、今回の特集「『老台北』一周忌に寄せて」になったに違いない。
◆月刊「HANADA」9月酷暑号 https://www.fujisan.co.jp/product/1281697388/next/