日米台関係研究所が国際シンポジウムで発表した「共同声明」

【序】

 2019年5月28日〜29日の両日、東京において、国際シンポジウム「日米台安全保障協力の方向性 ― 台湾有事に備えた日米台の連携」が開催された。このシンポジウムは「一般社団法人日米台関係研究所」の主催により開催され、安全保障に関連する本質的分析ならびに提言を行った。これに参加した私達、日本、米国ならびに台湾の安全保障分野、台湾問題等に関する専門家、有識者、研究者たちは、3国の連携をテーマに、率直かつ有益な討議を行なった。

 このシンポジウムの目的は、中国が台湾統一に向けた攻勢を強化し、露骨なまでに台湾への圧力を強める姿勢を隠さない中、台湾を巡る地域安全保障環境を整え、日米台安全保障協力の方向性を見出すことにあった。

 とりわけ、安全保障、軍事面における日本、米国ならびに台湾のスペシャリスト同士の、専門的な見地からの率直かつ集中的な討議は、事柄の性質上、その内容の全てを詳らかに出来るものではないが、極めて有意義かつ時宜を得たものであったことを付言したい。

【台湾を巡る現状を踏まえた日米台安全保障協力の方向性についての基本認識】

 二日間に亘る討議を通じて、私達は台湾を巡る安全保障に関連する様々な見地からの現状認識を共有した。

 外に向かっては覇権の拡張を押し進め、国内では国民を監視し、圧迫している中国は、周辺諸国の平和と安全に対する深刻な脅威であり続けている

 とりわけ、アジア太平洋地域において、習近平体制は、「台湾」を彼等にとっての「核心的利益」のリストの筆頭と位置付け、軍事的手段を含むあらゆる必要な手段を用いてでも台湾を「併呑」する意志を宣明している。同時に、東シナ海、南シナ海全域において、合法的でない領有権の主張を続けるとともに、南シナ海においては、既に各種の飛行場や港湾などを建設し、着々と軍事拠点化を進めている。加えて、宇宙空間、サイバー空間といった新しい領域においても、中国は、1949年の中華人民共和国建国からの100周年に向けて、軍事的な能力を獲得しつつある。

 一方で、台湾の地理的位置は、海洋の安全にとって極めて重要である。活力ある民主主義の主体である台湾、日本ならびに米国は、「自由」「民主主義」「人権の尊重」「法の支配」といった普遍的価値観を共有している。日本と米国の安全保障についての関心事項や価値観は、台湾の人々のそれらとも密接不可分の関係にある。

 台湾の近隣に位置するアセアン諸国、豪州ならびに太平洋島嶼国を含むオセアニア諸国、インド、さらには欧州諸国など、前述の普遍的価値観を共有する諸国との広範な連携・協力を確立することが重要であるとともに、日本、米国、台湾は、安全保障面でのトライアングルの連携・協力を強化しなければならない。

【具体的政策提言】

 以上のような基本認識の下、本日私達は、日本、米国ならびに台湾の政治的リーダーや、外交、安全保障分野における政策策定に参画する全ての関係者に以下の提言を行うものである。

1.日米共催の人道的な地域海洋安全保障訓練への台湾の参加を認めよ。

  米国と日本は「ウェスト・リムパック」(環西太平洋合同演習)を共催し、地域における人道 的な海洋安全保障(HA/DR:人道支援・災害救難、等)協力体制の確立に向けた地域海洋安 全保障訓練に、人道主義の観点に立ち、地域の欠かすべからざる主要プレーヤーとして、台湾を 招請する。本訓練を通じ、将来における各種海洋安全保障協同訓練への台湾の参加を醸成する。

2.日台間の公的な「安全保障対話」を開始せよ。

  中国から台湾に対する政治的、外交的な締め付けと軍事的脅迫は、公然と行われ、またその効 果もより大きくなりつつあることは明らかであり、すでに危険水域に達し、「限界点」に近付い ている。日本と台湾は、民主的価値観や安全保障観を共有する運命共同体であり、日本と台湾の 間での緊密で実効性のある安全保障対話が欠かせない状況となってきた。台湾側からは、日本と の協力の強化を切実に求められている。日本は、台湾との間で共有する価値観に基づく安全保障 面での強い結束をさらに確固にするため、台湾との公的な安全保障対話を開始すべきである。

3.上記2.の実現を前提とした日米台間の公的な「安全保障対話」を開始せよ。

  日本及び台湾の安全保障にとって、米国の政治的、軍事的関与は不可欠のものである。日台間 の公的な安全保障対話が開始されたなら、直ちに日米台3国間の安全保障対話を開始すべきである。

4.日本における「日台交流基本法」を制定せよ。

  1972年9月の日華断交以来、日本は台湾との関係について法的基礎が皆無となっている。この 間、日台関係は日本台湾交流協会と台湾日本関係協会の両民間団体間の協定、覚書によって運用 されてきた。しかし、その協定、覚書が国家によって執行される根拠は、1972年12月の一片の官 房長官談話のみであり、なんら法的な基礎が存在していない。日台関係の強化のためにも、法治 国家としての日本は、このような異常事態を早く解消しなければならない。また、覇権主義的姿 勢を露わにし、南シナ海から太平洋への進出を目指す中国の政治的、軍事的台頭を前に、日台間 では安全保障に関する対話と協力が喫緊の課題となっているところだが、安全保障について「民 間協定」による対応では不十分である。現下のアジア太平洋地域ならびに台湾海峡における危険 が増大する情勢に鑑み、我々は、日本が「日台交流基本法」を一日も早く制定しなければならな いと考える。

5.台湾における対日、対米間の協定、覚書を法制化せよ。

  日本と米国の間には日米安全保障条約が存在し、日米相互の防衛体制と能力の基礎を成してい る。また、米国の「台湾関係法」が、台湾と米国との関係を律している。これらの極めて重要な 条約あるいは米国国内法に加えて、日台間および米台間には各種の覚書、協定が結ばれている。 従って、4.の実現を前提として、台湾は、対日関係および対米関係の協定、覚書の法制化を進 めることが望まれる。そうすることで、日米台の強固なトライアングルの関係が結ばれ得るので ある。

6.中国による、日米の安全保障同盟や台湾の民主主義と自由の弱体化を目的とし、これらに好ま  しくない影響を与えるために行われる一連の工作活動に適切に対処するための、政策、メカニ  ズムならびに手段・方策を確立せよ。

  中国による地域的ないしグローバルな覇権を目指す際の主要な武器は、その豊富な財源に裏付 けられた、各種の影響力行使のための工作活動システムである。影響力行使のための工作活動 は、台湾の人々を分断し、意気消沈させることにより、究極的には台湾を破壊するとともに、日 本と米国の民主主義や中国の覇権に抵抗する能力を弱体化するために企画立案されたものであ る。この現に存在する脅威を成功裡に阻止するためのこれまでの努力や組織的な対応、資源の配 分は決して十分とは言えない。

【結語】

 アジア太平洋地域におけるバランスオブパワーは、仮に中国による攻撃的かつ地域を不安定化しようとする行動が阻止されなければ、間違いなく、中国優位の方向に傾いている。中国の野心は明白である。共産党独裁体制を堅持し、力をもってまずは地域覇権、次いでグローバルな覇権の掌握に乗り出すという確固たる意志である。台湾の「併呑」こそが、中国にとって、覇権的な野心を達成する上で不可欠のものとなる。

 台湾は、中国の海洋進出、軍事的・政治的拡張の中心を成すものである。もし台湾が中国の手に落ちれば、アジア太平洋においてかろうじて維持されているバランスは一挙に崩れる。日本はその生存、そして自由・民主主義も脅かされることとなろう。この地域における米国の影響力も大幅に減ずることとなろう。

 しかし、逆にみれば、台湾ならびにその周辺海域は、中国の覇権掌握の成否を左右する「喉元」でもある。日米台が共同してこの地域を守り切ることができれば、中国の覇権掌握の野心は挫折するか、もしくはその達成は相当に遠のくに違いない。

 中国の攻撃的行動は、台湾にとって、民主主義と自由に対する深刻な脅威をもたらしている。国際社会は、台湾の戦略的な重要性を再び強調することを含め、これに対応しようとしている。日本と台湾は共通の価値観と共通の安全保障上の脅威を共有している。

 日本と日本人は、この認識に立って、同盟国米国とともに台湾の民主主義を物心両面から支えなければならない。「台湾有事」に際しては、日米台三者の連携をもって、断固これを阻止しなければならない。仮に、これを抑止することが出来なかったとしても、断固としてこれを食い止めなければならない。

 今回の国際シンポジウムで提起された6つの具体的提言が、一日も早く陽の目をみることを心から願うものである。

 令和元年5月29日

        国際シンポジウム「日米台安全保障協力の方向性」参加者を代表して                     一般社団法人日米台関係研究所 理事長 渡辺利夫


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