日本版台湾関係法、早期成立を 拓殖大学前総長 渡辺利夫氏が講演

【世界日報「View point」:2021年4月18日】https://vpoint.jp/politics/202350.html

 世界日報の読者でつくる世日クラブ(会長=近藤讓良(ゆずる)・近藤プランニングス代表取締役会長)の定期講演会が17日、動画サイト「ユーチューブ」のライブ配信を通じて行われ、拓殖大学前総長の渡辺利夫氏が「台湾を築いた明治の日本人」と題して講演した。

 渡辺氏は生涯を懸けて台湾のために尽力した人物として、品種改良された米である「蓬莱米」の開発と定着に人生を捧(ささ)げた磯永吉や東洋一のダムとも呼ばれる烏山頭(うさんとう)ダムを建設した八田與一らの業績を紹介。その二人から見いだせる、明治の時代精神として「他国や他人の介入を許さず、自らの意思により一人で立とうという不羈独立(ふきどくりつ)の気概があった。特に当時のエリートにとって、公に尽くすことが生きがいだったに違いない。明治は、国家の興隆と個人の人生に矛盾のない、幸せな時代だったのだろう」と語った。

 また、現在の台湾と日本の関係について、台湾断交を「(中国という)巨大な存在がいる以上、認めないという選択肢は当時あり得ただろうか。米中で国交樹立し、台湾と断交する中、日本に同様の選択をしないという余地はなかった」と指摘した。

 その一方で、「日本の問題は断交以前の日台関係を継続させる意図がなかったことだ。米台関係では、断交前の関係性は国内法によって持続され、現在でも同盟関係にある。しかし、残念ながら日本にはそれがない」と批判。現在の日台関係は経済交流や文化交流が濃く、通常の国以上に多くの取り決めや合意があるものの「それらの合意を主権国家として保障するという法的根拠は日本にない」と強調し、安全保障上の取り決めなどのためにも、日本版の台湾関係法を早く成立させる必要性を訴えた。

 講演に先立ち、世日クラブの近藤会長は「台湾を守ることは日本を守ること。いかにして明治人はこの親日国を築き上げたのかを学ぶとともに、台湾の重要性を皆様と共有していきたい」とあいさつした。

※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。


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