昨14日、台風8号(モーラコット台風)の上陸から1週間を経てようやく事態の深刻さを認
めて国家安全会議を開いた。
1999年9月21日に勃発した集集大地震では、発生2日目に軍人約1万5000人が投入された
のに対して、今回はわずか1946人だったというから、救助態勢は確かに遅すぎる。
報道によれば「馬総統によると、台湾当局は、土石流で壊滅状態となった南部の高雄県
小林村で約380人が生き埋めとなり生存が絶望的になったと判断。同県ではさらに数百人
が生き埋めになっているとの情報がある」(読売新聞)という。
12日、メールマガジン「台湾の声」に台湾留学中の早川友久・本会理事が台湾の状況を
伝えているので転載してご紹介したい。 (編集部)
日本よ、台湾に手を差し伸べて!
台湾が今、未曾有の台風被害に襲われている。
特に南部の嘉義・高雄・屏東の被害がひどい。高雄県の小林村では500人が未だ生き埋
めになっているとの報道もあり、陸軍・空軍をはじめとする救援隊が救助にあたっている
が、報道される救助人数は多くても2桁ずつで、全員救助まではまだかなり時間がかかり
そうだ。
今、台湾南部は人手・物資・金すべてを必要としている。50年ぶりの大被害と言われる
ほどの大災害に台湾が見舞われた今こそ、日本にはぜひ救いの手を差し伸べて欲しい。被
害を受けた地域は広範囲に及ぶこと、土石流で村全体がのみこまれてしまった地域もある
ため、被害状況がまだ完全に把握されていないことから、台湾政府だけでの救助には限界
があるだろう。
メディアでは盛んに気象庁の予報ミスや、中央政府の対応の遅さなどを報道しているが、
今は人命第一で、政府を批判している時ではない。
ちょうど10年前の9月21日。台湾中部大地震が発生した時、どこの国よりも先に台湾へ
救援隊を送ったのは日本だった。この事実が、どれほど台湾人の日本に対する印象を高め
てくれたことか。多くの日本語族が「やっぱり日本だ」と言い、多くの若者の日本に対す
る印象を好転させてくれたと教えてくれたのは蔡焜燦先生だった。ここ数年、アンケート
による台湾人の日本に対する好感度は常に1位を得ているが、その根底にはこの921大地震
の際の日本の行動が底にあると指摘する人もいる。
台湾の政権が国民党へと復古し、馬英九総統は「台日パートナーシップ年」と口では謳
いながら、その姿勢からは疑いを拭いきれない。日本への想いを寄せてくれる日本語族の
人々が少しずつ減り続けている今、日台関係は転換期を迎えていると言えるだろう。
台湾のテレビは連日連夜、台風被害の報道一色だが、そんな中でも「日本麻生首相、15
日靖国参拝せず」のニュースはしっかりと流れた。誤解を恐れず言えば、靖国参拝せずと
も、麻生首相が台湾へ手を差し伸べてくれれば、自民党や麻生首相への求心力は確固たる
ものになると思うのだが。
日台が本当の「パートナー」であるならば、そもそもスローガンは必要ない。ぜひ日本
と台湾は良きパートナーであることを行動で示していただきたい。