日本から台湾にワクチン124万回分を緊急支援 本日午後到着!

 今朝の産経新聞1面トップは「台湾にワクチン きょう到着」の大見出しが大きく迫り、小見出しは「アストラ製 日本提供124万回分」と続く。「エッ!」と息を呑みつつ記事に目をとおし、「やった!」と声を挙げてしまった。なんとも嬉しいニュースだ。

 この記事は、ネットで検索してもまだ出てこない。新聞が印刷に回る降版ギリギリのタイミングで書かれた記事のようだ。

 他紙のニュースも見てみたが、NHKは「政府 4日にも台湾にアストラゼネカのワクチン提供する方針」(18時57分)、日本経済新聞も「台湾へのコロナワクチン供与、4日にも120万回分」(22時21分)と、台湾に届けられる6月4日という日付を確定して報じていない。ネットで検索する限りだが、朝日新聞や毎日新聞は記事さえ見当たらない。

 産経は見出しに続くリードで、記事の概要を記している。

 <政府が新型コロナウイルスの感染拡大でワクチン確保に苦しむ台湾に対し、4日に国内供給用に調達した英製薬大手アストラゼネカ製のワクチン約124万回分を提供することが3日、分かった。複数の政府与党関係者が明らかにした。ワクチンを積んだ輸送機は4日に台湾に到着する。日本と台湾は大規模災害などの際に相互に助け合ってきたことを踏まえ、政府は緊急措置として支援を決めた。=3面に「日米台連携」>

 台湾の中央通信社はさすがに速い。

 昨夜22時26分付の記事として「日本政府提供のワクチン、4日午後台湾に到着へ」を公表し、ワクチンを積んだ輸送機は日本航空だと特定し「日本政府が台湾に提供する新型コロナウイルスワクチンを積んだ日本航空の航空機が4日午後、桃園国際空港に到着することが分かった。同社の台湾支店によると、ワクチンを載せて台湾に向かうのは、東京(成田)と台北(桃園)を結ぶ定期便(JL809)の旅客機。4日のフライトは運休となっていたが、ワクチン輸送のため特別に乗客を乗せずに運航されるという」と報じている。

 それにしても、日本側も台湾側も口は堅かった。中国の横槍を防がなければならないことから、ワクチン提供を台湾側から打診された日本は、水面下で極秘に「提供量や時期などを台湾側と調整」(産経新聞)してきたそうだ。

 菅義偉総理は6月3日、首相官邸において自民党の台湾政策検討プロジェクトチームの佐藤正久座長らから提言書を受け取っている。「菅日誌」によれば午後2時4分から11分だ。日本経済新聞は「出席者によると、首相は台湾への援助について『製薬会社との関係もあり、最後の詰めをしている』と答えた」そうで、佐藤座長らにさえ、本日の空輸について明かしていない。

 台湾側の呉?燮・外交部長は6月3日、日本外国特派員協会のオンライン記者会見で台日関係などについて講演し、報道陣の質問に応じていた。「日本政府が台湾への提供を検討している新型コロナウイルスワクチンの受け渡し時期に関する質問には、『まだ一歩進んだコメントはない』と回答」(中央通信社)したという。

 蘇貞昌・行政院長も6月3日「行政院院会(閣議)後の記者会見に出席した蘇氏は、日本政府首脳の発言や態度に深く感謝する」と述べるに留まり「ワクチンの需要が世界的に高まる中で、『(ワクチンの調達を)妨害する国もあり、誰が友人で、誰が友人でないかよりはっきり分かる』とも話した」(中央通信社)と報じられている。

 それにしても、本日6月4日は32年前の1989年に中国で天安門事件が起こった日だ。この日は国際社会の目が中国に向くことで抑制作用として働くことを見越し、また台湾側からの「早ければ早い方がよい」という要望に応じ、この日を選んだようだ。

 6月2日付の毎日新聞は「官邸幹部は『台湾から6月中旬過ぎには欲しいと言われている。それに合わせた調整をしている』と明かした」ことを伝え「6月下旬から提供する調整に入った」と報じていたが、「6月中旬過ぎには欲しい」という官邸幹部の発言もまた、中国の目をそらすためだったのかもしれない。

 産経新聞は、台湾へのワクチン支援は、謝長廷・台北駐日経済文化代表処代表が米国の米臨時代理大使のジョセフ・M・ヤング氏と日本の政界要人を港区白金台の代表公邸に招いて会食しつつ意見交換した5月24日夜が発端だったと伝えている。

 本誌で、いずれ日本の「政界要人」は誰だか分かるだろうとお伝えしていたが、その要人とは薗浦健太郎・元首相補佐官のことで、この日米台の意見交換からワクチンの台湾提供が決まったという。

 この件では安倍晋三・前総理が深く関わったのは、薗浦氏が「翌日、安倍氏に謝氏らとのやり取りを報告して協力を要請」したからだという。産経新聞は1面に続き3面でその経緯を詳しく報じている。別途、ご紹介したい。

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