日弁連が日本と台湾の両国籍を有する人の国籍選択問題で政府に勧告書

 本会では、台湾出身者が日本人と結婚したり帰化した場合、戸籍の国籍や出生地を「中国」や「中国台湾省」と表記されてきた問題の解決に取り組んでいます。

 戸籍において、台湾出身者の国籍を「中国」としたのは、昭和39年(1964年)6月19日付で出した法務省民事局長による「中華民国の国籍の表示を『中国』と記載することについて」という通達でした。このことは政府も、平成23年(2011年)8月19日付で出した菅直人総理の「答弁書」で明確に認めています。

 本会が取り組んでいるこの戸籍問題と直接には関係していないようですが、日本弁護士連合会(日弁連)は9月24日、日本国籍と台湾籍の両方を有する人が国籍選択にあたり、事実上、台湾籍を選ぶことができないことがわかったとして政府に勧告書を出したそうです。

 これはこれで大きな問題です。政府に提出した「勧告書」とともに、弁護士ドットコムの記事を下記に紹介します。

◆日本弁護士連合会:勧告書[9月24日] file:///C:/Users/YUHARA/Documents/%E6%AD%A3%E5%90%8D%E9%81%8B%E5%8B%95/2021%E3%80%80%E6%88%B8%E7%B1%8D%E5%95%8F%E9%A1%8C/%E6%97%A5%E5%BC%81%E9%80%A3%EF%BC%9A20210924%E3%80%80%E5%8B%A7%E5%91%8A%E6%9B%B8.pdf

◆日本李登輝友の会:台湾出身者が「中国」とされている戸籍問題の解決を! http://www.ritouki.jp/index.php/recommendations/koseki/

—————————————————————————————–あれから5年…蓮舫氏「二重国籍」問題めぐり、日弁連が勧告 「国籍選択もとめるな」 【弁護士ドットコム:2021年9月30日】https://www.bengo4.com/c_16/n_13619/

 日本国籍と台湾籍の両方を有する人が、事実上、台湾籍を選ぶことができないとして、日本弁護士連合会(日弁連)はこのほど、政府に勧告書を出した。

 勧告書は、こうした日台複数籍者に対して、国籍法にもとづく「国籍選択」をもとめてはならないとしている。

 また、日本国籍の「選択宣言」をしなかったとしても、法律違反にあたらないことを周知するべきだとしている。

●仕組み上、台湾籍を選べない

 勧告書は9月24日付。日弁連は9月29日、定例会見で経緯を説明した。

 2016年10月18日、当時の金田勝年法相が閣議後会見で、「一般論として、台湾出身の重国籍者については、法律の定める期限までに日本国籍の選択の宣言をし、従前の外国国籍の離脱に努めなければならない」「期限後にこれらの義務を履行したとしても、それまでの間は、これらの国籍法上の義務に違反していたことになります」などと述べた。

 当時、蓮舫参院議員の「二重国籍問題」が取り沙汰されており、それを受けた発言だった。

 また、「蓮舫氏”二重国籍”は違法状態」などと断定的に報じたメディアもあったと指摘する。

 日弁連は2019年4月、金田発言や、報道によって、深刻な人権侵害を受けているとして、日本在住の台湾籍をもつ50代男性から人権救済の申立てを受けた。日本国籍と台湾籍をもつ親族の将来を憂慮しての行動だという。

 救済申し立てを受け、調査にあたったところ、国籍選択にあたり、事実上、日台複数籍者は台湾籍を選ぶことができないことがわかったという。

 しかし、法務省としては、日台複数籍者が法務局に問い合わせた場合、「日本国籍の選択の宣言により日本国籍を選択する手続による必要がある旨を案内する」との方針をとっているそうだ。

 その結果、金田発言や報道により、「二重国籍は違法状態」との認識が広く定着する中で、選択義務の年齢を迎える20歳前後の若者世代に、”日本国籍を選ばなければ違法になるという不安を与えている”と指摘する。

 人権擁護委員会の小田川綾音弁護士は、「片方が選択できない中で、選択を迫ることは、おかしい」と断じる。

 なお、申立人の男性は、各報道機関に対しても、日台複数籍者について国籍法上の選択義務違反と報じた記事の撤回や訂正を申立てている。

※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。


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