締結せよ」を発表している。それは「日本と台湾とは、その緊密な貿易、経済関係を考えれば、二
国間の自由貿易協定(FTA)を締結するに最もふさわしい間柄」という理由による。
台湾に進出している日系企業などで構成する台北市工商会(石塚洋・理事長)も11月5日、台湾
政府への要望と提言をまとめた『2014年白書』を台湾の国家発展委員会に手渡し、その中で「日台
間では、近年、数多くの協定が結ばれてきた。まずは、この動きを高く評価したい。一方で、日台
間の租税取決めやEPA締結等、さらなる環境整備を希望する」と要望している。
ちなみに、FTAが「物品の関税及びその他の制限的通商規則やサービス貿易の障壁等の撤廃を
内容とする」のに対し、EPA(経済連携協定)は「FTAの要素を含みつつ、締約国間で経済取
引の円滑化、経済制度の調和、協力の促進等市場制度や経済活動の一体化のための取組も含む対象
分野の幅広い協定」(外務省)と言われている。
関税撤廃だけでなく、投資やサービス面でも幅広い効果が生まれることを期待し、より親密な経
済関係を築くことを目的として締結される条約がEPAだ。
日本は2002年にシンガポールと結んだEPA以来、メキシコ、マレーシア、チリ、タイなどEP
Aを締結、EU(欧州連合)とのEPAは来年末までに結ばれるという。FTAはなく、すべてE
PAだ。
翻って、日台間ではこれまでFTA締結の機運はあったが、中国の横槍で潰えたという経緯があ
る。しかし、ここに来てEPA締結の機運が盛り上がってきたようだ。
昨11月17日、沈斯淳・台北駐日経済文化代表処代表は、立法院外交および国防委員会で「日本と
の外交関係及び経済貿易関係推進への取り組み」に関して報告、積極的にEPA締結向けて取り組
む考えを示しつつ、日本の態度が積極的になりつつあるとの認識を示した。
それについて、台湾では下記のように報じられている。
≪沈・駐日代表は台湾と日本の関係は良好だとした上で、経済貿易関係の発展については、現在
「積み木方式」で日本との経済パートナーシップ協定締結を目指していると述べた。沈・代表はそ
して、台湾の継続的な努力と世界的な地域経済統合の趨勢の下、台湾との経済パートナーシップ協
定に対して日本政府は積極的な態度に変わりつつあると指摘した。≫(11月17日付、台湾国際放送
ニュース)
ちなみに、APEC首脳会談に出席した蕭萬長・前副総統は11月14日、北京で安倍晋三首相と会
合、日台が経済関係を促進するためさらに一歩進んだ協議をはじめることに言及している。
中国の顔色をうかがうことなく、日本は堂々と台湾とのEPA締結を進め、現在の二重課税を回
避するとともに関税を引下げ、他国に劣らないより緊密な経済関係を築くべきだろう。早々に日台
EPEが締結されることを期待したい。