新たな憲法制定を求め「制憲運動方針」を発表

固有の領土は現有の領土

 李登輝前総統が新憲法の制定を唱え、昨年9月末には陳水扁総統もその制憲日程
を表明した台湾の新憲法制定問題は、この7月1日に台湾制憲運動のマニュアルを
公表したことで新しい段階に入ってきています。
 11月27日には、憲法制定、国民投票の実施、台湾国への正名を実現させるため
、国民の「台湾」への覚醒を促す目的の「照光美麗島・発現新国家」(美麗島を
光で照らし、新国家を発見する)運動を実施する計画も発表されています。当
日は、午後6時に台湾全土で一斉に灯籠、懐中電灯、蝋燭などを携えたデモを行い
、10時に天灯(熱気球仕立ての大型紙風船)を上げ、国中を明るく照らし出すと
いう計画だそうです。
 日本でも憲法改正の機運が高まっていますが、台湾問題も今後は李登輝前総統
の召集する台湾制憲運動が台湾正名運動の主流となります。7月22日付「台湾週報
」(2152号)が台湾制憲運動マニュアルの内容を紹介していますので、ここに転載
いたします。                          (編集部)


固有の領土は現有の領土 台湾制憲運動マニュアルを公表

 台湾の新たな憲法制定を求め、7月1日、李登輝前総統を総召集人とする「台湾
制憲運動発起大会」が台北市で開催された。同日は声明の発表とともに、運動方
針を記したマニュアルも公表された。このマニュアルは姚嘉文・考試院長が弁護
士の立場で編集したもので、領土や国名などについて新しい論述を示している。
 まず「固有の領域」について、姚院長は「各界でさまざまな意見があるが、研
究した結果から言えば、それは『現有の領域』にほかならない。現在台湾は中華
民国の名称を使用しているが、領土の範囲は以前の中華民国のそれとは隔たりが
ある。憲法第4条の規定を詳しく見ると、そこには領土の範囲について規定してお
らず、『固有の領土』という文字は『領土の変更』に関し、それ以前の領土とい
う相対的な意味で使用されているにすぎない。同4条の意義は『領土の変更には議
会の決議を経なければならない』という点だけだ」と指摘している。
 また、台湾の国境線については、「台湾、澎湖、東沙諸島、南沙諸島が台湾の
領土に属し、金門島、馬祖島および烏坵島など周辺の島嶼も、ずっと台湾
の管理下にあった。台湾の安全と台湾海峡の平和を守り、中国の軍事情勢を偵察
する上でそれらは無限の価値があり、また台湾の領土である」と主張している。
 国名については、「台湾が使っている中華民国の名称は、単なる借用にすぎず
、以前の中華民国、さらに中華人民共和国と非常に混同しやすいため、さまざま
な方法で注釈を加えなければならない。名実ともに台湾の現状に合致し、台湾と
いう主権国家を象徴するにふさわしい国名を見つけること。これが制憲運動の重
要な活動である」としている。
 なお国名の選定について姚院長は「国民のコンセンサスと社会の支持、国際社
会の理解を得て、法的な手続きを進めることができる。国名の問題は「台湾正名
運動」の主要課題であり、同運動の延長線上にある台湾制憲運動が国名制定を議
題とするのは自然なことだ。台湾の主権や領土、統一か独立かは、いずれも問題
ではない。なぜなら、台湾の主権と領土は明確であり、統一か独立かは問題では
ないからだ」と強調した。          《台北『自由時報』7月1日》



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