辺海域が中国の影響下に入ることを意味し、我が国も深刻な安全保障上の危機に直面する
こととなろう。我が国にとっても悪夢である。
今や日本は、座して台湾が中国に併呑されるのを見守るか、台湾との連携を推進して中
国の外洋進出を牽制するかの岐路に直面しており、日米両国は同盟関係をさらに強化する
と共に、価値観を共有する台湾の戦略的重要性を再認識して新しい対中戦略を策定し、日
米同盟と台湾の協力関係を更に深化させるべき時期に来ている。
今年1月発表された米国の「新国防戦略」では、沖縄、グアム、オーストラリアなどに即
応性の高い兵力を分散配備することで中国に対する抑止力を図る考えである。しかし、こ
の戦略では中国による南西諸島に対する侵略や東シナ海の安全に対する脅威の増大といっ
た事態に即応すべき米軍兵力が減少する事態が生ずることは必至であり、日米両国は、そ
のような事態にあっても即応能力を低下させないという明確なメッセージを発信するが必
要である。
そのためには、まず日本が周辺地域の安全保障態勢に主体性を発揮することが求められ
る。
いま将に、自国の安全とアジア太平洋地域の平和と安定にとって日米同盟の強化が最重
要課題となっており、そのためには実効性のある防衛力の整備及び所要の法的整備に加え
て、日米の同盟関係を対等なものとすることが不可欠である。
「集団的自衛権は保持しているが行使できない」という現行の憲法解釈が、日米同盟の
緊密化を阻害し、その実効性を強化する上で大きな足かせとなってきたことは否定できな
い事実である。
この問題を早急に解決し、国家としての強い決意を内外に示す上で最も効果的な方策
は、集団的自衛権の行使に関する政府の現行憲法解釈を修正することである。
憲法改正を待たずとも、解釈の修正によって集団的自衛権の行使を可能とすることの方
が、要する時間とエネルギーの両面から見てもより現実的であり、かつ、実際の作戦実施
においても共同対処能力を飛躍的に向上させることによって抑止力を更に向上させること
が期待できる。
ここに集団的自衛権に関する現行憲法解釈の修正を提言する。