http://www.ritouki.jp/index.php/info/20160511/
日本政府は4月29日、平成28年春の叙勲受章者名簿を発表した。ただ、残念なことに29日の新聞
紙面には台湾出身の方のお名前はなかった。
ここ数年、特に東日本大震災翌年の平成24年春以降、毎年春秋2回の叙勲では複数の台湾の方が
受章されていることを考えると残念でならない。
ところが、5月10日に日本政府が公益財団法人交流協会のHPなどを通じて発表したところによ
ると、実はもともと台湾からは宋文薫・中央研究院院士が叙勲されることが決まっていたものの、
まさに発表日前日に急逝され、名簿から削除されたのだという。そのため、結果的には台湾からの
受章者がいなくなってしまったという状況のようだ。
そこで改めて内閣府賞勲局より、死亡叙勲のかたちで受章が発表された。受章された宋文薫院士
の功績に敬意を表す意味で、下記に宋氏の経歴をご紹介しつつ、ご冥福をお祈り申し上げたい。
なお、これまでの台湾の叙勲者一覧(本会まとめ)は下記からご覧いただきたい。宋文薫・中央
研究院院士の叙勲で42人目となる。
◆台湾の叙勲者一覧
http://www.ritouki.jp/index.php/info/20151106/
宋文薫(そう・ぶんくん)
1924年(大正13年)、日本時代の新竹州竹東郡生まれ。考古学者、中央研究院院士、台湾大学人
類学系名誉教授。
1943年(昭和18年)、明治大学予科入学。1945年(昭和20年)、台湾に戻り台湾大学歴史学系を
卒業。恩師は台湾考古学の父とも呼ばれた国分直一だった。
台湾大学人類学系で教鞭をとるかたわら、台湾最古の旧石器文化である長濱文化や卑南の住居遺
跡などを発見した。さらに、台湾における考古学教育、遺跡の保存方法に関する研究を進め、1994
年には台湾大学人類学系名誉教授に就任。
その後も中央研究院で研究を続け、2012年には、考古学研究や遺跡保存など長年の考古学界への
貢献が認められ、第2回国家文化資産保存賞終身成就賞が贈られている。
2016年4月28日逝去。奇しくも、翌日が春の叙勲発表の日だった。
ここに改めてご冥福をお祈りするとともに、交流協会台北事務所HPに掲載された死亡叙勲につ
いての発表を下記にご紹介したい。
◇ ◇ ◇
平成28年外国人叙勲における台湾の受章者
【交流協会台北事務所ホームページ:2016年5月10日】
平成28年外国人叙勲については、台湾より、宋文薫氏(台湾大学名誉教授)の旭日中綬章受章が
決定していましたが、同氏は、4月29日の発令直前に急逝されました。
このたび、宋文薫氏に対し、死亡叙勲が決定いたしましたのでご報告いたします。
勲 章 旭日中綬章
氏 名 宋 文薫(ソウ・ブンクン)
主要経歴 台湾大学名誉教授
中央研究院院士
台湾大学 人類学科教授
功労概要 日本と台湾の考古学分野における学術交流に寄与。
宋文薫氏は、考古学研究において数々の発見をし優れた業績を残すとともに、同分野における日
台の学術交流に尽力。日本統治時代の考古学研究を継承・発展させ、今日の台湾考古学の発展に多
大な貢献をした。
交流協会といたしましても、生前の宋文薫氏のご功績に心より敬意と感謝を表し、同氏のご冥福
をお祈り申し上げます。