『日台共栄』10月号から新たな企画として、表紙のすぐ裏(表2)に「巻頭言」を設け
ました。記念すべき第1回は小田村四郎会長(前拓殖大学総長)に「台湾はいつ日本と戦争
したのか」と題して執筆していただきました。仮名遣いは「歴史的仮名遣ひ」です。
この巻頭言は、盧溝橋事件に関する台湾要人の発言の中に日本を敵国とする表現があっ
たことの矛盾を衝いて、台湾人の「中国人意識」の一掃を訴えた内容ですが、台湾紙「自
由時報」の目に止まり、10月23日付に掲載されましたので、ここに日本文と漢訳版をご紹
介します。
翻訳は本会常務理事で世界台湾同郷会副会長の林建良氏です。日本語の直訳ではなく、
台湾の読者に分りやすいように意訳されているところもあります。 (編集部)
【巻頭言】台湾はいつ日本と戦争したのか
本会会長 小田村四郎
盧溝橋事件勃発記念日に当る七月七日、連戦国民党主席(当時)は談話を発表し、「抗
日戦争」は「全国同胞の覚醒と奮起によるものであり、……戦争を振り返ることで悲痛な
歴史を知り、……決してそれを忘れることはでき」ない、と述べた。驚くべきことに陳水
扁総統までが同日、中部地区での演習視察後の昼食会で、「今年は『抗戦勝利六十周年』
に当る。我々はここに、敵と戦つた軍のすべての英雄たちの犠牲的精神に対し、最高の敬
意を表したい」と挨拶した。
この報道を見て、私は異様な違和感を覚えた。我々は蒋介石率ゐる国民政府と戦火を交
へたが、台湾国民と戦争した覚えはない。否、台湾島民こそ我々と同じ日本国民同胞とし
て共に敵と戦つた「戦友」だつた。不幸にして散華された約二万八千柱の台湾英霊は、内
地人戦死者と等しく靖國神社に合祀され、日本国民は日夜感謝の祈りを捧げてゐる。
にも拘らず連戦氏はシナ大陸人民を「同胞」と呼び、台湾人の敵だつた国の戦争を自国
の歴史と称し、陳水扁総統までがこれに同調する。
台湾が独立主権国家であることは厳然たる客観的事実である。しかし台湾国民自身が自
国の版図をどう考へてゐるのだらうか。もし四百余州、蒙古、西蔵まで領土だといふのな
ら、日本を含めて全世界が相手にしないだらう。李登輝前総統が「新台湾人」を主唱し、
「正名運動」を主宰し、「台湾人のアイデンティティ」確立を叫ばれることに耳を傾けて
欲しい。
このやうな台湾人の独立意識の曖昧さこそ台湾併呑を狙う中共の思ふ壺である。石平氏
が「動き出した『大陸・台湾反日同盟』の仕掛け人」(「正論」十月号)で警告された通
り、胡錦濤は九月三日、人民大会堂で国民党の抗日戦での功績を高く評価したといふ(九
・一九産経)。「中国人意識」の亡霊を一掃することこそ台湾の急務と思ふ。
日本不是台灣的敵國
■小田村四郎
七月七日盧溝橋事件紀念日,時任國民黨黨主席的連戰發表聲明說,「抗日戰爭讓全國同胞
覺醒奮發,我們絕對不能忘記」。採取與中國同樣的「抗日」論調的連戰,讓我更清楚何以他
自稱是「純種的中國人」。
更讓我大吃一驚的是,連陳水扁總統也在同日視察中部地區的演習視察之後說,「今年是『
抗戰勝利六十週年』,我們要向與敵軍戰鬥過的英雄們表達最高的敬意」。看了這個報導,
讓我有非常異樣的感覺。
日本的確與蔣介石的國民政府交戰過,但日本在二次大戰時並沒有與台灣戰爭過。更精確
地說,當時的台灣人與日本人同為日本的國民,是同胞,也是一同與敵軍作戰的戰友。當時不
幸戰亡的兩萬八千位台灣英靈,與日本內地的戰亡者同樣,被奉祀在靖國神社,日本國民對這
些台灣英靈深深感謝並日夜祭拜。
連戰將中國人稱為「同胞」,把中國的歷史當做自己的歷史,是企圖把台灣當為中國的一部
分,以正當化中國併吞台灣。而居然陳水扁總統也發此論調,身為台灣的國家領導者,此等歷
史認識的錯亂令人不解。
台灣是獨立主權的國家,這是個客觀事實。但是台灣國民自己有沒有想過自國版圖到何處
?如仍稱包括中國、蒙古、西藏都是所謂「中華民國」的版圖,那麼包括日本的國際社會都
會對台灣不屑一顧。李登輝前總統提倡「新台灣人」的觀念,並推動「正名運動」,期望以
此確立台灣人主體意識的努力,陳水扁總統是不是多少也要配合一下,並謙虛地聽聽這些正論。
台灣人的獨立意識曖昧而不清楚,讓全世界分不出台灣與中國到底有何不同?而這種曖昧
的態度,卻也助長了中國企圖併吞台灣的野心。在日中國人石平所寫的論文「推動『中國.台
灣反日同盟』的!)手」(「正論」十月號)已有所警告,胡錦濤於九月三日在人民大會堂讚
揚國民黨抗日戰爭的功績,正是「國共同盟、反台反日」的一環。
台灣要確保自己的主權獨立,最重要的要務是不是應該先一掃台灣國內的「中國人意識」的
亡靈?
(作者為前拓殖大學總長,中文版由林建良翻譯)