「接木」で増やしています。日本から贈った河津桜から出た新しい枝を、台湾の人々が
「山桜」と呼ぶ台湾原種の寒緋桜の台木(母木)に接木して増やしています。
もともと桜は他の桜と交配しやすいので、日本でも河津桜は大島桜を台木として接木し
て育てています。
実は、台湾の梨は台湾在来種の横山梨を台木として、日本から豊水や新興の枝(穂木・
ほぎ)を輸入し接木で育てているそうです。梨の場合、これを「寄接ぎ栽培」といい、そ
の実は「寄接ぎ梨」と呼ばれています。
ちなみに横山梨は、新竹県横山郷で栽培されていたことからそのように呼ばれるように
なったそうです。
もともと台湾における日本品種の梨は高度2,000メートルの高冷地で栽培されていました
が、1970年代後半に日本品種の穂木による寄接ぎによる栽培が確立されると、海抜が低い
地域でも栽培ができるようになり一気に生産が拡大したそうです。
そうすると穂木がたくさん必要となり、1988年から日本の穂木を輸入しはじめ、現在で
も寄接ぎ梨栽培に必要な穂木の半分ほどを日本から輸入していると言われています。
嘉義県竹崎郷産の寄接ぎ梨「玉観音」はとても美味しい梨だそうで、寄接ぎ梨がつむい
だ日台の絆が玉観音だそうです。中央通信社は「台湾と日本が“生んだ”寄接ぎ梨」とし
て伝えています。下記に紹介します。
ところで、穂木を台湾に輸出したのが縁で、姉妹都市提携を結んだのが鳥取県三朝町(み
ささちょう)と台中県石岡郷(現在は台中市石岡区)でした。2007(平成19)年3月6日のこ
とです。
1997年に三朝町から石岡郷に梨の穂木を輸出したことから、双方は文化面でもより交流
を深めたいとして、2001年には石岡郷から当時の郷長や視察団がそれぞれ三朝町を訪問、
翌年には三朝町長が石岡郷を表敬訪問。さらには2005年には石岡郷の中学生10数名が三朝
町を友好訪問し、地元の中学生と剣道などをして交流をおこない、2006年には三朝町の中
学生が石岡郷を友好訪問するなどの交流を経て「交流促進協定」の締結に至っています。
梨が結んだ日台交流です。
台湾と日本が“生んだ”寄接ぎ梨、市販へ 美味しさが評判
【中央通信社:2013年6月22日】
http://japan.cna.com.tw/news/aall/201306220002.aspx
(嘉義 22日 中央社)日本の梨の穂木を利用して栽培された嘉義県竹崎郷産の寄接ぎ
梨、「玉観音」の試食・販促イベントが22日行われ、その美味しさを皆が絶賛した。
玉観音は台湾本土の横山梨に日本から購入した豊水梨、幸水梨、新興梨の穂木を接木し
てできたもので、糖度は10度以上に達するほか、しゃきしゃきした食感が楽しめる。
会場では寄接ぎ梨や梨のお酢、お茶などが来場者に振る舞われたほか、張花冠嘉義県長
(=写真左)はさらに「玉観音は大きいほどおいしい」と梨の選び方を紹介するなどトッ
プセールスを行った。
地元の農協関係者も日本の福島、秋田、新潟の3県から仕入れた接穂を在来の横山梨に接
木した「玉観音」の水分量は約89.3%で、一種の優れた“天然水”だと言えるとみずみず
しい旬の味を説明した。 (編集:荘麗玲)