の追悼式典で台湾の待遇を見直し、昨年の一般席から外交使節団向けの来賓席とし、国名
などを読み上げる指名献花に加えた。
当日は天皇、皇后両陛下がご臨席になり、各国の駐日使節や各界の代表、閣僚、国会議
員など1,000名余が参列して厳粛かつ荘厳に執り行われた。台湾を代表して参列した沈斯
淳・台北駐日経済文化代表処代表は各国使節とともに指名の追悼献花を行った。
ところが、周知のように、これに反発して中華人民共和国が厳粛な追悼式を欠席した。
「追悼式で台湾の関係者を外交使節や国際機構と同等に扱った」からだという。
何とも子供じみた対応だ。ましてや東日本大震災の犠牲者を悼む式典である。こういう
ところに「政治」を持ち込むのはまったくいただけない。
日本には「村八分」という言葉がある。共同体の掟を破った者が結婚式などに声を掛け
られなくなることを指す言葉だ。では、残りの「二分」は何かというと、火事と葬式だと
いう。火事のときの消化活動と葬式の手伝いは許されるそうだ。
追悼式はいわば葬式に縁する。そこに台湾を招待しなかった昨年は日本の慣習にもはず
れた民主党政権の大失態だった。それをカバーされたのが、陛下ご主催の春の園遊会だっ
たことは、本誌ですでに書いた。
では、台湾と中国に対して日本政府はどのような対応をしているかというと、戸籍問題
における法務大臣への「要望書」などでも指摘しているように、日本は平成17年9月から台
湾観光客に対するビザ免除を恒久化、つまり「ノービザ」とし、平成19年9月には台湾と自
動車運転免許証の相互承認を行っている。しかし、中国とはこのようなことは行っていな
い。中国人観光客はビザを取らなければ日本に入国できないし、中国の運転免許証も日本
では使えない。
さらに昨年7月には、外登証を廃止し在留カードを交付するに際して「国籍・地域」欄を
設け、台湾出身者は「中国」ではなく「台湾」と明記している。同時に実施された外国人
住民基本台帳でも、台湾出身者の「国籍・地域」は「台湾」と表記するようになっている。
挙げればキリがないが、このように日本は台湾を中国とは明らかに異なった対応をして
いる。その延長線上に追悼式があり、日本独自の慣習もある。その上、台湾は東日本大震
災に多大な支援をしている。来賓として指名献花するのは当たり前だろう。台湾の待遇を
見直した今回の安倍総理の措置に非はない。まさしく「礼儀正しい」措置だった。
だから、追悼式が終わった後に安倍総理がfacebookにつづった感懐が多くの人の共感を
呼んだのだ。台湾を「大切な日本の友人」とし、中国の欠席を「残念」としつつ、日台・
日中関係の将来をも暗示させるような「私達はこれからも礼儀正しくありたい」と述べた
facebookの全文を下記にご紹介する。
それに対し、台湾の林永楽・外交部長(外相に相当)は即座に「日台関係重視の姿勢を
明確に感じる」と反応している。
【安倍晋三facebook:平成25(2013)年3月11日(水)】
3月11日の東日本大震災慰霊式典に「台湾の代表の取り扱い」を理由に中国が欠席いしま
した。
昨年行われた慰霊式典では、台湾の代表は招待され出席していたにも関わらず名前すら
読み上げられませんでした。
震災発生時、台湾は世界のどの国よりも多額の200億円を超える義援金を贈ってくれた大
切な日本の友人です。台湾の人々の気持ちを傷つける非礼な対応でした。
今年はこの対応を改め、台湾に対し感謝の意を込めて「指名献花」をしていただくこと
にいたしました。
このことに対して中国が代表を送らなかったことは大変残念なことであります。
しかし私達はこれからも礼儀正しくありたいと思います。
そして多くの支援をいただいた台湾をはじめ全ての国に対して、感謝の思いでいっぱい
であります。