学校給食に台湾果物を提供する茨城県の自治体と台湾の農糧署が交流会

 日本では近年、学校給食に台湾のバナナやパイナップルを出す小学校や中学校が増えています。

 この動きは、台湾産果物を日本の学校給食に提供することで台湾農産品の日本向け輸出強化をはかりたいと考えていた台湾が、2016年6月に静岡県御殿場市と行政院農業委員会が「台日農産品交流強化の覚書」を交わしたことが手始めだったようです。

 本誌5月15日号でお伝えしたように、茨城県内で給食にバナナを出す学校が44市町村ある県全体に広がり、今年5月末の段階で共同購入に参加する県内の自治体は13市町村に及び、年内に22市町村がこれに加わる見通しだそうです。

 茨城県内で台湾産のバナナやパイナップルが学校給食で提供されるようになったきっかけは、笠間市の積極的な台湾との交流活動にありました。

 2018年2月に2020年東京オリンピック・パラリンピックのホストタウンに登録し、同年8月には台北市内に「台湾交流事務所」を開設した笠間市の山口伸樹市長は、台湾事務所開設一周年ということで2019年7月24日、台湾の農業委員会農糧署と「食を通じた文化交流と発展的な連携強化に関する覚書」を締結しました。その後、その年の11月に笠間市内の全小学校、中学校、義務教育学校の給食に台湾産バナナが提供され、以降、毎年11月に笠間市内の小・中学校や幼稚園の給食でバナナが提供されるようになっています。

 笠間市はその後、近隣の自治体にも呼びかけ、台湾からバナナを共同購入しては学校給食のデザートとして提供してきたそうです。交流給食は毎年度3〜4回行われており、バナナのほかにはマンゴーやブンタン(文旦)もあるそうで、昨年度からはパイナップルも加わったそうです。

 茨城県も台湾が食料品などの輸入を禁止していた5県の一つでした。台湾が5県産品の輸入を解禁したのは2022年2月21日ですから、よくぞ笠間市は台湾果物を受け入れる覚書を交わしたものだと今更ながらに感心します。

 茨城県は茨城空港の活性化という現実的な問題を抱えていたこともあり、県を挙げて「台湾いばらき経済交流促進事業」として5億円の予算を組むなど、台湾との交流に積極的に取り組んでいることは本誌でも紹介しました。

 このような茨城県の動きに感謝の念を表していた行政院農業委員会農糧署の胡忠一・署長は6月4日から8日まで、訪問団を率いて日本の茨城県を訪問しました。

 地元紙の茨城新聞は「視察団と茨城県内19市町村の首長らの交流会が5日、水戸市内のホテルで開かれた。大井川和彦知事も出席した」「日台共栄首長連盟県支部(代表・山口伸樹笠間市長)加盟の14市町村、台湾産バナナを学校給食に取り入れている同支部非加盟の5市町が参加した」と報じています。

 ちなみに、「日台共栄首長連盟」(会長・宮元陸・石川県加賀市長)は2021年12月に設立され、現在、北海道から沖縄まで136名の市町村長が加入しています。中でも茨城県は15名ともっとも多く、今年5月9日に茨城県支部(代表=山口伸樹・笠間市長)が発足しています。茨城新聞にも出てくる行方市(なめがたし)の鈴木周也市長も日台共栄首長連盟に加入し、茨城県支部の一員です。

 日本国内の市町村は1,718(市:792、町:743 村:183。令和5年1月1日現在)。今後、台湾と姉妹都市など都市間提携を結ぶ123の自治体や日台共栄首長連盟に加入する136の自治体を中心に台湾産の果物が学校給食で提供されていくことを願うとともに、学校給食で食べた台湾の果物をきっかけとして、台湾への関心が広がり、深まることを心から願っています。

—————————————————————————————–給食にバナナ、感謝 台湾視察団 茨城県内首長らと水戸で交流【茨城新聞:2023年6月6日】https://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=16859640820016

 日本の地方創生視察のために茨城県笠間市などを訪れている台湾行政院農業委員会農糧署の視察団と茨城県内19市町村の首長らの交流会が5日、水戸市内のホテルで開かれた。大井川和彦知事も出席した。学校給食に台湾産バナナを取り入れた自治体に対し、同署側から感謝状の贈呈が行われた。

 同署は日本の農林水産省に相当する官庁。事務方トップの胡忠一署長を団長に11人が4〜7日の日程で4市で視察を行っている。

 交流会には、視察団員に加え、台北駐日経済文化代表処の蔡明耀副代表ら計14人、日台共栄首長連盟県支部(代表・山口伸樹笠間市長)加盟の14市町村、台湾産バナナを学校給食に取り入れている同支部非加盟の5市町が参加した。

 「首長さんたちは、積極的に台湾との交流を望んでいる。県とも一体となって台湾と交流を深めていければ」と山口市長。胡署長は「台湾に事務所を構えた笠間市との文化交流の覚書を結んだのを契機に、他の自治体とも学校給食への台湾産バナナの提供が進んだ」と感謝。今後、パイナップルを通じた交流にも期待を寄せた。

 視察団は4、5日と笠間市内で栗加工施設などを視察。6日は常総市の道の駅とひたちなか市の学校給食を視察し、その後、県庁の大井川知事を表敬訪問する。7日は行方市でサツマイモ貯蔵施設を視察する。

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