日本や米国、オーストラリア、ニュージーランドにとって、太平洋島嶼国家との良好な関係維持は安全保障にかかわることであり、安倍晋三・元首相が提言し、トランプ大統領が国際戦略とした「自由で開かれたインド太平洋」戦略を進める上でも、台湾と同じように要衝となっている。
2019年9月16日と20日、台湾の中華民国と正式な国交を維持してきた太平洋島嶼国家のソロモン諸島とキリバスが相次いで国交を断絶し、中国と国交を樹立した。
そのため、オーストラリアやニュージーランド、太平洋島嶼国家でつくる「太平洋諸島フォーラム(PIF)」の関係にも亀裂が入り、2022年7月にキリバスが脱退した。マーシャル諸島も2022年3月に脱退したものの同年10月に再加盟している。
2月24日、「太平洋諸島フォーラム」がフィジーで首脳級会合を開き、キリバスの復帰を承認したと伝えられた。米国の国家安全保障担当大統領副補佐官でもあるカート・キャンベルインド太平洋調整官が現地に赴いて調整したことなどが奏功したようだ。
日本も米国も、またこの地域の島を領有するイギリスもフランスもホッとしたことだろう。
ちなみに、「太平洋諸島フォーラム(PIF)」はキリバスの復帰により、同機構の加盟国・地域は18に戻り、オーストラリア、ニュージーランド、パプアニューギニア、フィジー、サモア、ソロモン諸島、バヌアツ、トンガ、ナウル、ツバル、ミクロネシア連邦、パラオ、マーシャル諸島、クック諸島、ニウエ、仏領ポリネシア、ニューカレドニア、キリバスとなっている。
時事通信は「次期事務局長にワガ元ナウル大統領を起用することを決めた。来年に就任する。ナウルは台湾と外交関係を維持しており、ワガ氏は大統領在任中、中国に厳しい姿勢を取ったことで知られる」と報じている。
—————————————————————————————–キリバスの復帰承認=次期事務局長に元ナウル大統領【時事通信:2023年2月24日】
【シドニー時事】太平洋諸国の地域機構「太平洋諸島フォーラム(PIF)」は24日、フィジーで首脳級会合を開き、昨年7月に離脱を表明したキリバスの復帰を承認した。
同地域で中国が影響力拡大を図る中、結束の乱れを懸念する声が出ていた。会合に出席したキリバスのマーマウ大統領は「われわれは大家族の一員だ。太平洋地域の結束を保って前進しなければならない」と述べた。同機構の加盟国・地域は18に戻った。
また、同機構は次期事務局長にワガ元ナウル大統領を起用することを決めた。来年に就任する。ナウルは台湾と外交関係を維持しており、ワガ氏は大統領在任中、中国に厳しい姿勢を取ったことで知られる。
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