【5月14日 産経新聞「 風を読む」】
先週8日付の米ボストン・グローブ紙の社説「中国の影」が面白かった。
いわく、「世界には今日、多くの血塗られた独裁国家が存在するが、一つの共通点が
ある。それは、いずれも中国から支援を受けていることだ。スーダン、ミャンマー、ウ
ズベキスタン、そしてジンバブエで、中国はいまや悪の手助け役になっている」と。
「血塗られた独裁国家」のリストに、北朝鮮も加えてほしかったが、それはともかく
である。
同社説は、中国は石油などの資源獲得のためなら、相手国でいかなる人民弾圧、住民
虐殺などが行われていようと、金にまかせて相手独裁政府と手を組んでいる−と批判し
た。そして、中国のそうした行動をやめさせるために、来年の北京オリンピックを「ジ
ェノサイド(大虐殺)オリンピック」と呼ぼうと提案する。
先に、フランス大統領選で敗北した社会党の女性候補、ロワイヤル氏が選挙中、住民
虐殺が続くスーダンへの中国の経済支援を非難し、北京オリンピックをボイコットする
可能性を「排除しない」と述べたのと似た考えだ。
もっとも、外交とは自国の利益の最大化をはかる行為である。中国のなりふりかまわ
ぬ資源外交も、善しあしを別にすれば、外交の一形態であろう。それに、フランス外交
だって、外見は中国より洗練されているように見えるが、内実は国益最優先だ。
退陣するシラク仏大統領は、大相撲ファンで知日家として知られた。しかし、外交政
策上はむしろ親中的で、日米が強く反対する対中武器禁輸解除論者だった。
中国の最近の対日微笑外交もあくまで中国の国益(党益?)のためだ、という認識が
欠かせない。無粋だが、現代の外交とは、お互いそうしたものであろう。
(論説副委員長 矢島誠司)
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