国立民族学博物館が台湾を中国とする不見識展示 全日本台湾連合会が抗議

大阪府吹田市にある「みんぱく」こと国立民族学博物館(吉田憲司・館長)は現在、創設50周年記念企画展と銘打ち、台湾の客家文化発展センターの共催により9月5日から「客家と日本──華僑華人がつむぐ、もうひとつの東アジア関係史」を開催している。

国立民族学博物館はこれまで台湾の博物館などと提携し、2014年4月に順益台湾原住民博物館と学術協力協定を結び、同年5月には国立台北芸術大学と交流協定を結んでいる。

さらに、2015年10月には国立台湾歴史博物館と「学術研究交流協定」を締結するなど、台湾との交流は深い。

ところが、この国立民族学博物館がなんと「台湾原住民族」のセクションを「中国地域の文化」と位置づけて展示し、台湾を中国の一部としていた。

ホームページの「中国地域の文化」を確認すると、下記のような記述がある。

<現在も大陸の55の少数民族は、おもに西南、西北、東北地方の高地や草原に居住しており、台湾には漢族のほか先住のオーストロネシア系民族が居住しています。

岩波書店が2018年1月に出版した『広辞苑・第7版』も、「中華人民共和国」の項目では、台湾を「台湾省」として自国領と表記した中華人民共和国の行政区分地図を掲載し、「全人口の九割を超える漢族のほか、五五の少数民族が居住」と記述している。

国立民族学博物館も「大陸の55の少数民族」と記述している。

しかし、中華人民共和国はこの「55の少数民族」に台湾の「高山族」、すなわち台湾の原住民を入れている。

広辞苑と国立民族学博物館はまったく同じ認識なのだ。

日本の博物館で台湾の博物館などと3つも提携しているところは国立民族学博物館だけだというのに、学術よりも政治を優先したとしか思えない岩波書店と同じ不見識ぶりだ。

全日本台湾連合会は9月19日付で、吉田憲司館長宛に抗議と訂正要求および謝罪を求める文書を送付した。

下記にその全文を紹介したい。

◆国立民族学博物館 〒565-8511 大阪府吹田市千里万博公園10-1 TEL: 06-6876-2151(代表) FAX: 06-6875-0401 https://www.minpaku.ac.jp/


国立民族学博物館館長 吉田憲司 殿

拝啓

私たち「全日本台湾連合会」は、貴館の展示において台湾が中国の一部として表記され、「中国地域の文化」として「台湾原住民族」のセクションが設けられていることに対し、強く抗議いたします。

これは日本政府の公式見解および国際的な事実に反するものであり、台湾の主権と独立性を無視する行為です。

また、貴館サイトは当初、「中国地域の文化」の展示に関し、台湾を含めた中国の民族分布図を掲載していましたが、その後それを削除されています。

それは貴館が台湾は中国の領土ではないと理解している証であると思います。

このような誤った情報の展示は、訪問者の誤解を招き、私達台湾人の感情と尊厳を傷つけるものであります。

台湾原住民は台湾国民であり中国国民ではありません。

その尊厳もお守りください。

よって、貴館に対し、早急に「台湾原住民族」のセクションを撤去するか、「中国」とは関係のない他の展示場に移設し、台湾の人々および関係者に対して正式に謝罪することを強く要求いたします。

貴館が迅速かつ適切な対応を取られることを期待しております。

敬具

  2024年9月19日

                             全日本台湾連合会                             会長 趙 中正                             常務理事会・理事会一同


※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。


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