全日本台湾連合会が台湾を中国の一部と表示する厚労省ポスターに抗議!

 福島第一原子力発電所によるALPS処理水の海洋放出について、中国が日本からの水産物の輸入を禁止したことに対し、全日本台湾連合会(趙中正会長)は8月27日、「日本に在住する台湾人は、日本の漁師・水産加工業者を応援するべく、日本の水産物を沢山消費して中国政府の無茶苦茶な暴挙に反対するよう世界各国に在住する台湾人に各自のSNSにて日本の現状を正しく発信して応援を呼びかけようではありませんか」と呼びかけたことは、いまだ記憶に新しいことです。

 全日本台湾連合会は9月21日、空港に掲示されている厚生労働省検疫所の鳥インフルエンザの発生を警告するポスターが、台湾を中国の一部と表示していることに抗議声明を発表しました。

 厚労省は新型コロナウイルスの感染が拡大しはじめた2020年3月、ウェッブサイトに掲載していた地図や厚生労働省成田検疫所の案内モニターで湾を中国の一部とした地図を掲示していましたが、全日本台湾連合会などからの抗議により、外務省ウェッブサイト掲載の地図に差し替えるなど「台湾表記の誤り」を認めて訂正しました。

 しかし、まだ「台湾」を「中国」の一部とする地図は残っていたようです。厚労省は抗議を受けた地図のみを訂正し、厚労省関係のすべての地図を訂正したわけではなかったことが明らかになりました。その場しのぎの対応と批判されても致し方ありません。

 全日本台湾連合会の抗議は「またしても同じ過ちを繰り返したことは、台湾人にとっては前回に倍する侮辱」と憤りつつ、「中国の台湾に対する武力侵攻の危機が迫っている状況の中で台湾を一層危険にさらすものであることを明確に認識し、直ちに英文版・中文版も含めて誤った地図表記を訂正するよう要求」しています。

 厚労省はすでに「台湾表記の誤り」を認めて訂正しているのですから、当然の要求です。再犯は許されません。下記に全日本台湾連合会の抗議文と、それを伝える中央通信社の記事をご紹介します。—————————————————————————————–厚生労働省検疫所のポスターの地図表記において中国に台湾を含めていることに厳重に抗議する!

厚生労働大臣 武見敬三殿

 厚生労働省検疫所の「中国などで人での鳥インフルエンザが発生しています!」というポスターが空港で掲示されており、「人での発症が認められた国」の名が列挙され、世界地図上でそれらの国の位置が色で示されています。

 そのなかで「中国」だけが「H5N1型」と「H7N9型」両方の発症国として名前が挙げられ、地図では焦げ茶色に塗られています。ところが、2013年に中国で「H7N9型」に感染して帰国し発症した「輸入例」が報告されているだけの「台湾」が、名前は挙げられないまま地図上では中国と同じ焦げ茶色に塗られています。

 しかし、日本政府は台湾を中国領とは承認していません。この度の地図表記は、台湾侵略を目論み、その目的のために「台湾は中国の一部である」と虚偽の情報を発信し続ける中国の情報戦に加担するものであります。在日台湾人団体として、台湾と台湾人の名誉を著しく毀損する日本政府の行為に対し、猛省を促しここに厳重に抗議するものであります。

 厚生労働省は2020年にも「新型コロナウイルス感染症」が中華人民共和国において発生したことを注意喚起するポスターの地図で、台湾を中国に含めて同じ色で示したことがあり、我々在日台湾人団体が厳重に抗議し、さらに多くの日本人からの抗議も寄せられた結果、ポスターの地図上の間違いを訂正した経緯があります。

 それにも関わらず、またしても同じ過ちを繰り返したことは、台湾人にとっては前回に倍する侮辱であります。日本政府には、今後二度と同じ過ちを繰り返さないよう、このような行為が、中国の台湾に対する武力侵攻の危機が迫っている状況の中で台湾を一層危険にさらすものであることを明確に認識し、直ちに英文版・中文版も含めて誤った地図表記を訂正するよう要求します。

                                           2023年9月21日                                         全日本台湾連合会                                         会長  趙 中正                                      常務理事会、理事会一同

—————————————————————————————–厚労省ポスター、台湾と中国を巡り誤解招く表記 在日台湾人団体が抗議【中央通信社:2023年9月21日】https://japan.focustaiwan.tw/society/202309210007

(東京中央社)厚生労働省が日本国内の空港で掲示している鳥インフルエンザへの注意を促すポスターで、台湾が中国に含まれると誤認させる表記が採用されているとして、在日台湾人団体の連合組織「全日本台湾連合会」は21日、日本政府に対して厳重抗議する声明を出した。「台湾と台湾人の名誉を著しく毀損(きそん)する」行為だと非難し、表記の即時訂正を求めている。

 ポスターでは鳥インフルエンザ「H5N1」と「H7N9」について、人での発症が認められた国をそれぞれ列挙し、地図上で色分けする形で表示している。台湾は中国と同じく黄土色で塗りつぶされているが、国名の一覧に台湾の名前は記載されていない。

 声明ではポスターの表記について「台湾侵略をもくろみ、その目的のために『台湾は中国の一部である』と虚偽の情報を発信し続ける中国の情報戦に加担するもの」だと指摘。日本政府のこのような行為が「中国の台湾に対する武力侵攻の危機が迫っている状況の中で台湾を一層危険にさらすものであること」を明確に認識するよう促した。

(楊明珠/編集:名切千絵)

──────────────────────────────────────※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。


投稿日

カテゴリー:

投稿者: