全日本台湾連合会が李登輝元総統を「中国」に分類した集英社に厳重抗議

 本誌11月4日号で掲載したように、集英社が創業95周年記念企画として『アジア人物史』(全12巻)を刊行中だが、2024年4月26日刊行予定の第12巻で、李登輝元総統を取り上げ、「中国」に分類した問題で、李氏の次女で李登輝基金会の李安[女尼]董事長は11月2日、「深く残念に思う」とする声明を発表した。

 これに呼応するように、全日本台湾連合会(趙中正会長)は11月5日、集英社へ抗議文を送ったことを明らかにした。下記にその全文を紹介したい。

 集英社はホームページで「各人物を配置した地域区分はあくまで便宜的なものです」と断りを付して逃げ道を作っているが、誰がどう見ても李登輝元総統は「台湾」の人物以外の何ものでもない。

 集英社は、即刻、日本ばかりでなく中国や台湾へ誤ったメッセージを発する李登輝元総統の「中国」分類を訂正すべきだ。

—————————————————————————————–株式会社集英社代表取締役社長 廣野眞一 殿

台湾の李登輝元総統を「中国」に分類することに厳重に抗議する!!

 貴社が来年4月に刊行する『アジア人物史』第12巻において、台湾の李登輝元総統が「中国の人物」と位置付けられていることが明らかになりました。

 李登輝氏のご息女で、現在李登輝基金会の董事長である李安[女尼]氏からも「深く残念に思います」との声明が出されました。声明文では貴社に対して「李登輝を『中国』の人物とすることの妥当性を再考し、より事実に沿った歴史の記述を願うとともに、『アジア人物史』が素晴らしいベストセラーになることを願っています。」との希望を述べられています。

 李登輝氏は、中国国民党による独裁政治を打破した「台湾民主化の父」で、国内外で「ミスターデモクラシー」と呼ばれた人物です。中国に分類するのは明らかな間違いです。

 ご存じの事と思いますが、日本政府は中国政府の「台湾は中国のものだ」という主張を認めてはおりません。厚労省が新しく発表した地図でも、中国と台湾は明確に分けられております。

 我々在日台湾人団体である全日本台湾連合会は貴社に厳重抗議し、記述の訂正を強く求めます。

 2023年11月5日

                                           全日本台湾連合会                                            会長 趙 中正                                          常務理事・理事一同

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