台湾総統選挙の「馬旋風」ストップ [読売新聞 石井 利尚]

台湾の民主主義度は東アジアで3位、中国は17位、日本は1位(世界20位)

 本日(1月3日)付の読売新聞が「2007年 東アジア 政治の季節」と題して、創設40周
年を迎えるASEAN、12月19日に大統領選挙が行われる韓国、核兵器を開発したとうそ
ぶく北朝鮮、12月に立法委員選挙が行われる台湾、今秋の第17回党大会で二期目に入る胡
錦濤の中国を取り上げている。
 ここにイギリスの「エコノミスト」誌の別冊「2007年の世界」から作成したという「世
界の民主主義度」という興味深いグラフを掲載し、また「東アジア16か国・地域の民主主
義度」も併せて掲載している。台湾の項とともに紹介してみたい。
 ちなみに、この「民主主義度」は世界167か国・地域を5項目について10点満点で評価し
、平均値により順位を付けたものだという。その5項目とは「選挙の公正度」「政府の政
策実行能力」「市民の政治参加の度合」「選挙結果を市民が受け入れる風土」「市民の自
由度」である。                             (編集部)


台湾総統選 「馬旋風」ストップ 台北支局 石井利尚

 台湾では、陳水扁総統(55)の後継を決める総統選挙を2008年3月に控え、独立志向が強
い与党・民進党と、対中協調政策をとる最大野党・国民党の候補者選びが今春から本格化す
る。1996年に初の総統直接選挙を実現した台湾のエコノミスト誌・民主主義度は東アジア
で3位にランクされている。

 世論調査で「総統候補」トップを走っているのが馬英九・国民党主席(56)だ。馬氏は、
中国との直行便など中台交流の拡大を通して対中信頼関係を築き、台湾海峡の平和を守る
と訴えている。

 だが、人口の8割を超える多数派の本省人(台湾出身者)には、外省人(中国大陸出身
者)である馬氏の「対中融和策」に不安を覚える人が少なくない。馬氏の党内基盤も弱く、
本省人を中心とする本土派代表の王金平。立法院長(国会議長)(65)を支持する勢力の
巻き返しなど、候補確定までには曲折も予想される。

 対する与党は、陳総統周辺の「腐敗」で防戦一方だったが、馬氏の「統一志向」を揺さ
ぶりながら反撃態勢に入る。

 陳総統に比べ対中融和的な謝長廷・前行政院長(首相)(60)は昨年12月、国民党の牙
城である台北の市長選で善戦したことで声望を高め、「謝総統」と出馬を求める声が上が
った。蘇貞昌・行政院長(59)との競り合いになりつつあるが、独立志向が濃厚な游錫[方
方/土]党主席(58)や、良識派の象徴である林義雄元党主席(65)を推す声も消えない。

 与党支持率は低迷しているが、若者を中心に台湾人意識は高まっている。イメージが先
行した馬氏は実績不足も響き、「馬総統で決まり」といわれた一昨年来の“馬旋風”はや
んだ。

 中国は、国民党の政権奪回を期待し、懐柔の動きを強めるだろう。中台関係が最大の争
点になる総統選は接戦になりそうだ。選挙を前倒しし、12月に予定される立法委員選との
同時選にする動きも注目される。


世界の民主主義度[167か国]
1、スウェーデン 9.88
2、アイスランド 9.71
3、オランダ   9.66
4、ノルウェー  9.55
5、デンマーク  9.52
13、ドイツ    8.82
17、アメリカ   8.22
20、日本     8.15
167、北朝鮮    1.03

東アジア16か国・地域の民主主義度
1、日本     8.15
2、韓国     7.88
3、台湾     7.82
4、モンゴル   6.60
5、フィリピン  6.48
6、インドネシア 6.41
7、香港     6.03
8、マレーシア  5.98
9、シンガポール 5.89
10、タイ     5.67
11、カンボジア  4.77
12、中国     2.97
13、ベトナム   2.75
14、ラオス    2.10
15、ミャンマー  1.77
16、北朝鮮    1.03



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