中華航空機炎上 間一髪、大きな惨事は免れた[読売新聞 社説]

【8月21日 読売新聞「社説」】

 火の手が上がったのは着陸して駐機場に入った直後だ。あっという間に炎と黒煙が旅
客機を覆い尽くす。乗客・乗員165人全員が無事、脱出できたのは奇跡的と言えよう。

 沖縄・那覇空港で、台北発の中華航空機が炎上した事故は、漏れた燃料にエンジン部
分から出た火が引火し、爆発したものと見られている。

 飛行中、あるいは地上走行中でなかったことは不幸中の幸いだ。一つ間違えば大惨事
になっていた恐れもある。

 乗客たちは、機体の前後4か所にある脱出シューターを使って、次々と機外へ逃れ出
た。窓から炎が見え、機内にも煙が入り込んで来ていた。「地上に降りた直後、後方で
大きな爆発が起きた」と話す乗客もいる。

 まさに間一髪の脱出だったようだ。

 緊急時の避難誘導の成否が、乗客の安全を大きく左右することは明らかだ。

 1998年5月には、成田空港で、滑走路に向かうユナイテッド航空機のエンジンから出
火し、脱出の際のパニックで乗客19人がけがをしている。

 それにしても、しばしば中華航空で大事故が起きるのは、どうしたことか。

 94年4月、名古屋空港に着陸しようとした台北発エアバス機が墜落し、乗客・乗員264
人が死亡した。98年2月には、台北国際空港への着陸に失敗したエアバスが住宅街に突
っ込み、住民を含め202人が犠牲になっている。

 2002年5月にも、香港行きボーイング747型機が洋上で空中分解して墜落、225人が亡
くなった。

 それぞれ、パイロットの操縦技術や、機体の不完全な修理などが原因として指摘され
ているが、大勢の乗客の生命を預かる航空会社である以上、一つのミスも許されるもの
ではない。

 今回、炎上したのはボーイング737−800型機だ。最新型の主翼、エンジンを搭載し、
燃費効率の良い短中距離用機として世界的に人気が高い。

 中華航空は、事故機を含め12機の同型機を保有、利用客の多い台北―那覇線にも振り
向けていた。日本の航空会社2社も、計10機導入している。

 過去に、同型機でエンジン火災などの事故はないという。それならば燃料漏れや火災
は、なぜ起きたのか。整備・点検は万全だったか。構造的な問題も含め、徹底的な原因
調査が急務である。

 近年、日本の地方空港に、アジアから定期便を乗り入れるケースが増えてきている。
航空当局には、外国航空会社の整備・点検実態を審査するなど、安全性確保に厳格な対
応を求めたい。


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