の軍拡に批判的な傾向が顕著になりつつある一方、台湾への姿勢は軟化してきているようだ。
党内に設置している全国委員会(DNC)は2月20日、「台湾は活発に発展する民主国家で、す
でに自由で公正な総統選挙を5度にわたって実施している他、開放的で自由、かつ多元的な社会を
維持する、東アジアと世界の模範である」などの理由により、「人道支援、公衆衛生、環境保護の
いずれの上でも台湾は米国のパートナー」と称える決議を採択したと報じられている。オバマ氏が
大統領に就任して以来、民主党が台湾に対して友好的決議を行うのは初めてだという。
それを証明するかのように、駐米外交官の関連業務を管轄する米国国務省外交使節団室は昨年12
月、アルファベット「E」から始まる外交官用ナンバープレートを増設することを発表。2月、こ
の「E」ナンバーが台湾駐米代表処の公用車の外交官用ナンバーに割り振られたという。
2月25日付の中央通信社は「国務省は新たに増やされた頭文字がEのナンバープレートについて詳
しい説明は行っていないが、駐米代表処をはじめとする中華民国の在米機関のために作られたもの
と推測される」と伝えるとともに、「中華民国の駐米外交官らは1979年に双方が断交して以来、初
めて他国・地域の外交官と同等の待遇を獲得したことになる」と報じている。台北駐日経済文化代
表処の広報メディアの「台湾週報」も報じているので、下記に紹介したい。
ただ、これらの報道は非常に誤解を生みやすい。アメリカは中華民国と国交がない。中華民国を
認めていないからだ。ところが、アメリカの場合は中国との国交樹立と同時に、国内法で「台湾関
係法」を制定する。
この法律ではまず「1979年1月1日以前に中華民国として合衆国により承認されていた台湾の統治
当局と合衆国との政府関係を停止した」と明記。
しかし、西太平洋における「平和と安定は、合衆国の政治、安全保障および経済的利益に合致」
し、「合衆国人民と台湾人民間の通商、文化その他の諸関係の継続を承認することにより合衆国の
外交政策を促進する」ため、この台湾関係法を制定したとしている。
それゆえ「台湾人民の安全または社会、経済の制度に危害を与えるいかなる武力行使または他の
強制的な方式にも対抗」するため「防御的な性格の兵器を台湾に供給する」(第2条B項)と定め
ている。
つまり、アメリカが認めているのは「台湾人民」と「台湾」であり、けっして「中華民国」では
ない。だから、今回の外交官ナンバーという特権付与の件も、「中華民国の在米機関」ではなく
「台湾の在米機関」または「台湾によって設立された在米機関」という表現の方が適切だろう。
なぜなら、今回のアメリカ政府の措置は、下記に掲載する台湾関係法10条「台湾の機構」に基づ
いていると考えられるからだ。
<大統領は、台湾によって設立される機関に対して、1979年1月1日以前に中華民国として承認され
ていた台湾の統治当局が合衆国内で保有していたと同数の事務所および職員定数を認めるよう要求
される。>(B項)
<台湾が協会とその正規職員に付与する特権と免責権にもとづき、大統領は、台湾の機構とその正
規職員に対しても、機能が有効に発揮されるのに必要な相対応する特権と免責権(適宜な条件と義
務を伴う)を付与する権限を有する。>(C項)
台湾と中華民国の関係は、イコールでないだけに複雑だ。台湾と中華民国は混同しやすい。報道
のように安易に使うと誤解も生む。
中華民国(台湾)駐米代表処の公用車が外交官用ナンバー使用へ
【台湾週報:2015年3月4日】
中華民国(台湾)の駐米国台北経済文化代表処(以下、駐米代表処)の公用車のナンバープレー
トが、このほど外交官用ナンバープレートに変更された。これは1979年の台米断交以来、初めて他
国並みの待遇を獲得したことになる。
各国の駐米外交官の関連業務を管轄する米国国務省外交使節団室(OFM)は、昨年12月にアル
ファベット「E」から始まる外交官用ナンバープレートを増設することを発表した。
今年に入ってから、これまでに駐米代表処の公用車20台のナンバープレートが「E」ナンバーに
変更され、その他外交職員の車両についても申請中であり、今後順次「E」ナンバーに変更される
予定である。
米国の外交官用ナンバープレートは、水色の背景色に上部が赤色で、左上に米国の国章が入って
いるデザインとなっている。今回増設された「E」のほかには4種類あり、「D」が大使館の外交
官(Diplomat)、「C」が領事館の外交官(Consul)、「A」が米州機構、「S」が外交官リスト
に含まれない大使館職員に分類されている。