台湾の立法委員選挙で与党・民進党が歴史的大敗北

台湾団結聯盟は議席を喪失

 昨日、初めて小選挙区比例代表並立制を導入して投開票が行われた台湾の立法委員(国
会議員に相当、定数113)選挙において、与党・民主進歩党が27議席しか獲れず、歴史的
大敗北を喫して陳水扁主席が辞任を表明した。

 一方、最大野党の中国国民党は81議席と大勝し、親民党などを加えた野党連合は85議
席となった。また台湾団結聯盟は候補擁立の13小選挙区で全敗し、比例代表も得票率が
規定の5%に満たず、立法院での議席を失った。

 立法委員選挙と同時に実施された与野党2つの住民投票の投票率は約26%と、いずれ
も規定(全有権者の50%)に達せず、成立しなかった。投票率は小選挙区・先住民族枠
が58・85%(有権者数:1717万9658人)、比例代表が58・3%(有権者数:1727万7720人)
で、立法委員の全面改選実施以来最低だった。             (編集部)

■選挙結果
・民主進歩党(DPP) 27人 選挙区:13人 全国区(36・91%):14人
・中国国民党(KMT) 81人 選挙区:61人 全国区(51・24%):20人
・親民党(PFP)    1人 選挙区: 1人
・台湾団結聯盟(TSU) 0人 選挙区: 0人 全国区( 3・53%):0人  
・新党(NP)      0人        全国区( 3・95%):0人
・無所属         1人 選挙区: 1人
・無党聯盟        3人 選挙区: 3人

■選挙結果からの主なポイント
・中国国民党が総統罷免案を可決できる3分の2(76議席)以上を獲得。
・中国国民党と親民党などの野党連合が憲法改正案を可決できる4分の3(85議席)を獲
 得。
・行政院長が可決法案などの再審議を求めた場合、中国国民党主導の立法院が2分の1の
 賛成で再可決。

■台湾の立法委員選挙システム
 今回の立法委員選挙では「単一選挙区二票制」が導入され、有権者は地元代表の候補
者に一票、支持する政党に一票の合計二票を投じた。議席数は従来の225議席から113議
席に半減。任期は3年から4年とした。小選挙区制で73議席、比例代表で34議席、平地原
住民族で3議席、山地原住民族で3議席。比例代表制では得票率が5%を超えた政党のみが
当選者を出せる。


野党・国民党圧勝=3分の2超、総統選へ勢い−民進党は歴史的大敗−台湾立法院選
【1月12日21時1分配信  時事通信】

 【台北12日時事】3月の台湾総統選挙の前哨戦となる立法院(国会に相当、定数113)
選は12日、投開票され、中央選挙委員会によると、対中協調路線の最大野党・国民党が
総統罷免案を可決できる3分の2(76議席)を超える81議席を獲得した。台湾独立志向の
与党・民主進歩党(民進党)は勝敗ラインとした45議席を大きく割り込む27議席と歴史
的大敗を喫した。

 国民党は立法院選勝利の勢いに乗り、2カ月後に迫った総統選で8年ぶりの政権奪還を
目指す。総統候補の馬英九前主席は記者会見で「改革の時期が来た。(総統選投票日の)
3月22日が政権を完成させる最後の一歩だ」と語った。国民党は他会派から4人を取り込
めば、全議席の4分の3を超えて憲法改正も可能となる。

 今回の選挙で国民党は馬氏が先頭に立ち、陳水扁政権の2期8年間の実績不足や腐敗を
追及。第2野党・親民党との選挙協力も成功し、民進党が強固な地盤を持つ中南部でも満
遍なく票を集めた。

 一方、民進党は当初から苦戦を強いられ、前回選挙と同じ議席獲得率となる45議席を
勝敗ラインに設定。陳総統は本省人(台湾出身者)が多数を占める住民に向けて「国民
党の勝利は中国の勝利だ」と訴え、「台湾人意識」を刺激する戦略を取った。しかし、
物価高などで経済に対する住民の不満が高まっている上、新たに導入された小選挙区制
の下、強力な組織力を持つ国民党に太刀打ちできなかった。

 民進党主席を兼務する陳総統は12日夜、「国民党の勝利を祝う」と惨敗を認めて主席
辞任を表明した。今後、陳総統が推進した台湾独立路線の後退は確実で、総統選と同時
実施を計画している台湾名義での国連加盟に関する住民投票の行方にも影響を与えそう
だ。党内の主導権は総統候補の謝長廷・元行政院長(首相)に移っていくとみられる。

 投票率は選挙区58・5%、比例区58・3%で、ほぼ前回並みだった。



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