去る10月24日、東京都の石原慎太郎都知事が予定通り訪台したことは先にお伝
えしましたが、28日夜、台湾各地で親台湾派としての存在感を遺憾なく発揮して
帰国しました。その後の動静を各紙からご紹介します。
片倉佳史氏の「台湾便り」は、さすがに台湾在住でかつ根っからの鉄道ファン
(鉄ちゃん)だけあって読み応え十分です。 (編集部)
台湾で石原知事 豪華列車で観光地を視察
【iiV News 10月26日】
台湾を訪問中の石原知事は、台湾当局が海外からの観光客誘致を目的に導入し
た豪華列車の出発式に招待され、この列車で現地の観光地を視察しました。この
列車は台湾で最高級の設備を備え、2泊3日などの日程で主要な観光地を回ると
いうものです。
出発式で石原知事は「このプログラムをきっかけにして、日台関係をもっと大
きな、熱く素晴らしいものにしていきたい」と挨拶しました。台湾当局は2002年
に、海外からの観光客を年間250万人から500万人へと倍増させる計画を立て、主
に日本人観光客の誘致に力を入れています。
■片倉佳史の台湾便り■
2004/10月27日 豪華列車フォルモサスター
片倉佳史です。
拙著『台湾日本統治時代の歴史遺産を歩く』ですが、どこの本屋なら確実に購
入できるのかというお問い合わせを数多くいただいてきました。そこで、拙サイ
ト内に書店リストを設けました。どうぞご覧ください。これらの書店は出版社が
直接営業をかけておりますので、棚になくても、スタッフに声をかけていただけ
れば、出してもらえると思います。
http://my.so-net.net.tw/katakura/shinkan.html
▲台湾版豪華列車『フォルモサスター』▲
先日、台風が台湾北部を通り過ぎていきましたが、これによって鉄道において
も大きな被害が出ました。特に八堵で基隆方面と分岐して、宜蘭・花蓮方面に向
かう宜蘭線では土砂崩れが起きたり、軌道が流されたりして大混乱でした。もち
ろん、列車も運行停止です。
しかし、10月25日は台湾鉄路局が社運(局運?)をかけてデビューさせた豪華
列車『寶島之星』の出発日でした。この列車は拙掲示板にも書きましたが、台湾
を一周する特別列車で、通称『フォルモサスター』と呼ばれます。台北発で宜蘭
、花蓮、台東と回り、その後、屏東、高雄。さらに日月潭にも寄って台北に戻り
ます。宿泊地となるのは、花蓮の遠来大飯店、知本温泉の老爺酒店、日月潭の涵
碧樓(THELALU)です。
この列車のアイデアを出したのが東京都知事の石原慎太郎氏。5月の総統就任
式に参列した際、交通部との雑談の中で話題に上がったのだそうです。台湾東部
の自然が美しいことは知っていたようで、「外国人のシニア世代を対象とした豪
華で安全な列車の旅を提供してみては?」という提案があったそうです。
新幹線開業で確実に大打撃を受ける台湾鉄路局(台鉄)は即断し、なんと3ヶ
月あまりで特別車両を製作。今回の一番列車に石原都知事を招待したのです。
ところが、台風24号の影響で台北県福隆付近に土砂崩れが発生してしまいまし
た。とりあえず、出発は一日遅れることになりました。台湾鉄路局は慌てて復旧
工事を始め、徹夜で作業を続けたそうです。それで、単線運転で仮復旧を終わら
せ、26日午前8時15分。「フォルモサスター」は出発を果たしました。
現在も、宜蘭線の一般列車の運行は見合わせていますが、新聞などでは、特別
列車は走るのに、一般の列車はなぜ走らせないという文句を言う人々も出てきて
いるようです。特に統一派メディアは今回の石原都知事招待をよく思っていませ
んから、これに絡めて台鉄を激しく批判しています。へんにこじれなければいい
ですが……。なお、宜蘭線の完全復旧は30日朝までかかるそうです。
なお、この列車は全行程3泊4日。毎週土曜日出発で、駅から観光スポットま
では専用バスが就航します。料金は3泊4日のフルコースで25,000元。途中台東
から飛行機で戻ってくるコンパクト版は16,800元となっています。5両編成で客
車は3両。1車両あたりの座席数は33。最後尾には展望車が付き、スナックカ
ーも併結されます。
僕自身は実物にまだ乗ったことがないので、コメントはできませんが、また、
機会を改めてご報告いたします。なお、11月と来年の旧正月の期間の列車はすべ
て満席。12月も半分くらいはすでに予約で埋まっているそうです。
http://www.eztravel.com.tw/package1/train_taiwan/index.htm
詳しくは、↑をご覧ください。それでは、よろしくお願いいたします。
◆発行者◆ 片倉佳史with LADY-M
台湾特捜百貨店http://www.katakura.net
片倉へのメールはnwotaiwan@hotmail.comへどうぞ。
都庁発 石原語録 台湾訪問「東京にも大勢来て」
【産経新聞 10月28日】
「日本は今、旅行ブームでありまして、時間とお金を持っている世代が旅行す
ることが、大きな産業にもなっています。私は政治の用事で何回も台湾を訪れて
いるが、東の海岸はあまり知らない。日台関係の親善のためにも、発展のために
も、たくさんの日本の方が台湾を、特に東海岸を訪れて。一番親しい国でありま
すから」
「台湾の人も政治家だけじゃなく国民が個々に、たくさん日本に、東京に来て
いただいてほしいと思います」
「一番親しいのが台湾で、私は共産主義は嫌いですから。サッカーの試合を見
ても、勝者を祝福しない。そういう国に行きたいとは思わないですから」
(26日、訪問先の台湾・台北で行われた、新しく運行される東部海岸を通る観光
列車の出発式のあいさつ。および車内で報道各社のインタビューに答えて)
石原・陳会談 “台湾に湘南”を提案
【iiV News 10月28日】
2泊3日の日程で台湾の観光地を視察した石原知事は、28日に陳水扁総統と会
談し、湘南をイメージしたマリンスポーツの拠点つくりを提案しました。
今回の台湾訪問は、台湾政府の招待で東海岸の観光地を回り、日本からの観光
客誘致について意見交換するために行われました。陳総統との会談で石原知事は
、台北から40キロほど離れた地域に、湘南のようなマリンスポーツの拠点を作る
ことなどを提案しました。
国際社会は台湾に不公平 陳総統、石原知事と会談
【共同通信 10月28日】
台湾の陳水扁総統は28日、台北市内の総統府で石原慎太郎東京都知事と会談し
た際、「台湾は主権独立国家だが、台湾人民は100パーセントの主権を享受するこ
とができない。国際社会は台湾に対し不公平だ」と述べた。
「台湾は国家としての主権を享受していない」と表明したパウエル米国務長官
をけん制すると同時に、「一つの中国」原則を掲げる中国当局の反対で実現して
いない世界保健機関(WHO)など主要国際組織参加への支持取り付けを狙った
発言とみられる。
陳氏は「台湾人民は台湾を熱愛し、支持してくれる友人を持てて光栄に思って
いる」と述べ、パウエル長官の発言を批判した石原知事を称賛。
また、台風の影響で鉄道が一部不通となる中、知事を乗せた観光専用列車が運
行され、台湾メディアに「特権行使」と報じられたことに関し「知事が誤解を受
けたことに対し、深い謝罪の意を表する」と述べた。
石原知事は同日夜、台北発の航空機で成田空港に帰国した。機内で記者団に対
し、知事が台湾側に提案した台湾中央部の登山道整備について「知り合いの山の
専門家に調査してもらう」と述べ、今後も台湾の観光振興への協力を表明した。