その象徴的な事例が昨年9月の蘇啓誠・台北駐大阪経済文化弁事処処長が自殺に追い込まれた事件だった。
あの事件からまだ1年も経たないというのに、総統選の予備選を舞台に、与党の民進党支持者の間で、蔡英文支持派と頼清徳支持派がSNSなどで誹謗中傷を繰り返すという事態を招いている。
この事態を「思う壺」とほくそ笑んでいるのは、中国であり、国民党であることは火を見るより明らかなことだろう。
昨日、台湾独立建国聯盟日本本部はこの事態を憂え「民進党の支援者同士で攻撃しあうことは、民進党政権と台湾人の民主的な国を壊そうとする国民党と中国共産党を喜ばせるだけ」「台湾の国を守るために、台湾人は団結して全力で民進党政権を支援していきましょう」という緊急声明を発表した。
台湾の民進党総統候補者選出について
ご存じのように、来年の台湾総統選挙の民進党の候補者として、現役総統の蔡英文氏と元行政院長頼清徳氏が立候補しております。我々台湾独立建国聯盟は民進党の候補者が蔡英文氏になるにしろ、頼清徳氏になるにしろ、全力で応援していくことを決めています。
蔡英文総統も頼清徳氏も共に台湾人意識があり、学識が高く、人柄も誠実な立派な政治家です。現在、世界中を見渡しても、このように優秀な候補者が二人もしのぎを削る政党はなかなか見当たりません。
しかし現在、両候補の支持者がネットを使って、相手候補を貶めるような発言を繰り返し、民進党が分裂してしまうのではないかと懸念されています。
ネットの書きこみには中国の手が入り、見えない力で台湾人の団結を阻害しているとも言われています。それに踊らされることのないよう、自らを戒める必要があります。民進党の支援者同士で攻撃しあうことは、民進党政権と台湾人の民主的な国を壊そうとする国民党と中国共産党を喜ばせるだけです。
昨年11月の統一地方選挙の結果から見て、来年1月11日の総統選挙、立法院議員選挙では民進党が苦戦を強いられると予想されています。かつて民進党の敵は国民党でしたが、今や、国民党の後に控える中国共産党が真の敵となりました。姿を見せずに巧みに台湾社会の隅々に入り込んできている中国の黒い力に対し、クリーンな民主主義の力で闘うのは容易ではありません。
しかし、全力を挙げて民進党政権を維持しなくてはなりません。元駐日台湾大使で津田塾大学名誉教授の許世楷先生が、我々が今年3月に主催した2・28記念講演で述べたように、「台湾の場合、政権交代は単なる政権交代ではなく、祖国交代につながる」のです。「台湾人の国が中国人の国になる」という意味です。
仮に、民進党の支持者でなくても、自分や自分たちの子孫が自由で民主的な台湾で生活することを希望するのであれば、民進党候補者を選ぶ以外の選択肢はありません。
台湾の国を守るために、台湾人は団結して全力で民進党政権を支援していきましょう。
2019年5月23日
台湾独立建国聯盟日本本部