中国政府の政治利用が問題視される国際刑事機構の総裁は中国出身者

5月21日からスイスのジュネーブで開催される世界保健機関(WHO)の年次総会(WHA)に、台湾は昨年に続いて参加できないことが明らかになった。

 米国在台協会が「米国は台湾がオブザーバーとしてWHO総会に出席することを強く支持する」と表明し、また、EUなども明確な支持を表明、日本政府も間接的ではあるが参加を支持し、超党派の国会議員でつくる日華議員懇談会(古屋圭司会長)も3月に台湾のWHAへのオブザーバー参加支持を決議した。

 しかし、産経新聞は世界保健機関の「マーガレット・チャン(陳馮富珍)事務局長が中国政府の影響を受ける香港出身だったことが障害とみられていた。だが、昨年7月にエチオピアのテドロス元保健相に交代しても状況は変わっていない」と伝える。

 中国政府は「民進党当局は『一つの中国』原則を認めていない。台湾地区が招待されないのは完全に民進党当局に責任がある」と表明し、台湾の外交部が批判しているように「WHO事務局が05年に中国と台湾の会合参加の『拒否権』を与える秘密合意を結んだ」という裏事情があるのかもしれない。

 台湾が世界保健機関やその年次総会をはじめ国際民間航空機関(ICAO)などの国際組織にオブザーバーでも参加できないのは、やはり中国の圧力があると考えるのが自然だろう。

 台湾は2016年、世界192ヵ国が参加しているという国際刑事機構(インターポール)総会へのオブザーバー参加を申請したが認められなかった。当時の日本経済新聞は「中国が圧力をかけているとの見方が出ている」と報じた。

 下記に紹介する「大紀元」紙は、中国が「妨害し、出席を阻んだ」と報じている。また、国際刑事機構が発行する国際指名手配リスト入りを意味する「赤い通知」は加盟国が発行を申請するというが、国際刑事機構は「通知」の発給条件を明確にしておらず、米国議会では「インターポール総裁である中国公安副部長・孟宏偉氏が、中国の都合に合わせて『赤い通知』を発行しているのではないか」と、その中立性が問題視されているとも伝えている。この中国の「長い腕」は国連にも及んでいるとも伝え、その事実を示している。

————————————————————————————-中国「長い腕」 – 中国高官が総裁のインターポール「共産党に操られている」=米VOA【大紀元:2018年5月8日】

 中国共産党政府の公安副部長を総裁に構える、国際刑事機構(インターポール)は世界190カ国が参加する国際組織で、国連に次ぐ規模だ。しかし、中国共産党に政治利用されているのではないかとの批判が起きている。

◆家族を脅し指名手配者をゆさぶる

 このたび、国際人権団体ヒューマンライツ・ウォッチ(HRW)は、国際刑事機構(インターポール)から国際指名手配された、在米および在カナダ中国系居住者に聞き取り調査を行った。中国に住む容疑者の家族は、当局により家財没収や恫喝など、強い圧力を受けているという。

 「警察が週に2回、中国の自宅に来ていた。まるで暴漢のような態度で、私の妻を脅した。言うことを聞かなければ、牢屋に入れると。妻は毎回、泣きながら電話で、早く中国に戻ってきて欲しい、と」

「警察は地方政府や公安機関と連携して、何度も私の兄弟姉妹を呼び出した…今日は私の姉妹、明日は兄、姪っ子…家族を脅し続けた」

「妻と子、ほかの親戚は、財産を没収された。彼らは現在ホームレスだ。息子は学校にも行けなくなった」

 インターポールは、世界各国の警察組織が国際犯罪容疑者を逮捕するため、情報提供などで捜査を連携できる国際機関。

 インターポールの国際指名手配リスト入りを意味する「赤い通知」は、加盟国が発行を申請する。発行されれば、インターポールは国外逃亡する容疑者の情報を各国の警察組織と情報を共有し、帰国・逮捕に向けて働きかけることができる。

 しかし、これは逮捕令状ではなく、法的効力はない。関係国が犯罪者引き渡し条約を結ばず、国内法に違反していなければ、普通に生活することができる。

 インターポールの総裁は、加盟国の警察機関高官が就任する。2016年、中国の公安部次長・孟宏偉氏が就き、2017年9月には北京で総会が開かれた。

◆人権団体とアメリカの政界の懸念

 冒頭の告白のように、インターポールは政治利用されているとの批判が起きている。4月下旬、この問題は米議会でも議題に挙がった。

 4月26日、党派を超えた米上院7議員が連名文書で、司法省に対して、中国当局が容疑者の家族に嫌がらせや非人道的な行為で、容疑者逮捕に向け圧力をかけていないかを調査するよう求めた。

 国際刑事機構憲章第3条では、同組織が政治的な介入や活動を行うことを禁止している。

 7議員はまた、現在のインターポール総裁である中国公安副部長・孟宏偉氏が、中国の都合に合わせて「赤い通知」を発行しているのではないか、組織の中立性を調べるよう申し出ている。

 中国は、孟宏偉氏が就任した2016年、台湾がインターポール総会にオブザーバーで参加することを妨害し、出席を阻んだ。また、中国共産党政権の内情の暴露を続けている、米国に事実上亡命した政商・郭文貴氏にも、「赤い通知」が出ており、政治利用だとの批判を集めた。

◆中国共産党ルールが米国に浸透

 米国に亡命したベテランの中国民主化活動家・魏京生氏は、米政府系ボイスオブアメリカ(VOA)に対して「インターポールは何年にもわたり中国共産党により操られている。共産党は多額の資金を提供しており、総裁も中国から選出した」と語った。

 魏京生氏は、インターポールを批判する著名人の一人。フランスのリヨンにある本部に赴き抗議したり、記者会見や講演を行って、中国共産党の政治利用について働きかけた。これに応じて、インターポールは2018年2月、指名手配リストに載った複数人の名前を削除した。これに中国政府は強い不満を示した。

 魏氏によると、多くの国外の民主活動家、チベット、ウイグルの知人は、インターポールから国際指名手配されたことで、中国国内の家族が当局により嫌がらせを受けたという。また「容疑者」として扱われるため、海外にいても出入国や国際イベントでは警察に呼び止められ、暮らしを制限されている。

 ニューヨーク在住の高光俊・弁護士は、インターポール指名手配の関連弁護を担ってきた。高弁護士によると、2015年から2016年前半まで、中国政府は数十人の当局者を訪米させてFBIに働きかけ、インターポールの指名手配犯の帰国と逮捕の協力を求めたという。

 英国の非政府組織「公平審判」の上級顧問は、組織が指名手配者の基本的人権を侵してはならないとし「もっと問題であることは加盟国190カ国がその共犯になりかねないことだ」と指摘した。

 「公平審判」の働きかけにより、ウイグルの人権活動家の「赤い通知」は取り下げられた。中国政府はこの人物を「危険分子」と名指していた。

◆中国共産党「長い腕」国連まで取り込む

 中国の公安部次長・孟宏偉氏をトップに据えるインターポールは、いまだに「通知」の発給条件を明確にしていない。

 HRWの中国地区代表ソフィー・リチャードソン氏は、インターポールの「悪名高き不明瞭さ」を批判した。HRWが2018年1月に発表した報告書によると、中国の「赤い通知」発行の要求件数と、その要求に応じた国際指名手配の数は明かされていないという。

 先ほど紹介した、魏京生氏にも「赤い通知」が届いている。「誰がインターポールの指名手配者リストに載っているのか、どうして載ったのか、知ることはできない」「中国共産党の恐怖政治が、西側の自由な国へ拡大している」

 HRWのリチャードソン氏は、中国の影響力は国連にも及んでいると指摘する。中国の国連職員は中国の人権問題が批判されないよう、水面下で国連人権委員会の専門家に働きかけているという。同氏は一年をかけて、中国職員の動きを記録している。「国連の目的は人権保護にあるが、今はほとんど機能していない」

 一方、孟宏偉氏について失脚の噂が出ている。4月11日、公安部次長である同氏は同部の党委員会から除名された。昨年12月、同氏が兼任する国家海洋局副局長、海警局局長の職も解かれた。

 同氏のインターポール総裁の任期は2020年までである。

                                 (翻訳編集・佐渡道世)


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