この変更の原因について、台湾の外交部は「ヨルダン政府が中国大陸側の圧力に折れてしまった」と説明している。
この在外公館の名称変更や国交断絶は確かに中国の圧力であり、国際機関から台湾を締め出すことで台湾の存在を消し去ろうとする動きと連動している。
中国すなわち中華人民共和国が中華民国の承継国と名乗り、国連などがこの中華人民共和国の主張を容認している限り、中華民国を名乗っているいまの台湾が中国からの圧力にさらされ続けることは容易に想像できる。
台湾の活路は、李登輝元総統が中華民国から「台湾」への国号変更にあると喝破したとおりで、台湾の将来は台湾人が決めていく以外に道はない。中華民国の危機こそ「台湾」へのもっとも近い扉となる。
————————————————————————————-ヨルダンの台湾窓口機関、中国圧力で「改称」【NNA ASIA:2018年5月1日】
中東のヨルダンにおける台湾政府の窓口機関、「中華民国駐約旦商務弁事処」が、「台北経済文化弁事処」に改称した。外交部の李憲章発言人(報道官)によると、ヨルダン政府が中国政府から圧力を掛けられたためという。台湾の窓口機関が同様の改称を余儀なくされたのは、2017年来5カ国・地域目。
中央通信社によると、中国の外交部(外務省)は17年からヨルダン政府に対し、台湾代表部を改称するよう迫っており、圧力に屈したヨルダンは正式に台湾政府へ改称を要請した。同時に李氏は「台湾、ヨルダン双方の観光客数や学術交流、貿易の機会は増加傾向にあり、改称による実質的な影響はない」とも述べた。同様の改称は昨年来、ナイジェリア、バーレーン、エクアドル、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイでも迫られた。
台湾政府は中華民国(台湾)を外交承認していない国に、「中華民国」「台湾」を使わない「台北経済文化弁事処」「台北経済文化中心」「台北商務文化弁事処」「台北代表部」「台北代表団」「台北商務代表処」「台北貿易弁事処」「台北商務処」と、「中華民国」を冠した「中華民国駐(国名)商務弁事処」「中華民国駐(国名)商務代表団」を置いており、日本には「台北駐日経済文化代表」を設けている。
中国は「中華民国」「台湾」を名称から外すことで台湾の存在感をより弱める狙いがあり、今後はこれらを冠する一部の窓口機関もヨルダン同様、中国の圧力を受けた当該国・地域の政府から「台北〜」への改称を求められる可能性が高い。
中国は台湾への外交圧力を強めており、蔡英文氏が総統の就任を控えた16年3月にガンビアが、同年12月にサントメ・プリンシペが、17年6月にパナマがそれぞれ一方的に台湾と断交し、中国と国交を樹立した。また17年5月にはフィジー政府が台北市内に設けていた代表機関を閉鎖している。