フランスの台湾代表が駐仏米国代理大使に招かれて大使公邸で昼食

 去る3月2日、ジョセフ・M・ヤング駐日米国臨時代理大使は台湾の謝長廷・駐日代表を大使公邸に招いて、地域の安定、経済の繁栄、人と人とのつながりの強化など幅広いテーマにわたる共通の優先事項について意見交換した。中央通信社は「台湾の駐日代表が米大使公邸に招かれるのは、台湾(中華民国)と米国が断交した1979年以降初めて」(3月4日)と伝えている。

 今度は、在フランス米国大使館のブライアン・アゲラー(Brian Aggeler)代理大使が台湾の台北駐フランス代表処の呉志中代表を大使公邸に招いて昼食をもてなしたという。下記に紹介するTaiwan Today誌は、これは4月30日のことで、「台湾の駐仏代表が在フランス米国大使館の大使公邸に立ち入るのは1979年の中華民国(台湾)と米国の国交断絶後、初めてのこと」と報じている。

 トランプ政権末期の1月9日、当時のポンペオ国務長官は矢継ぎ早に台湾との関係強化策を打ち出し、1月9日には台湾の外交、軍事当局者らとの接触を制限する国務省の内規を撤廃すると発表していた。バイデン政権となって国務省は改めて指針の見直しを進め、4月9日、米政府と台湾の当局者間の非公式接触の制限を緩和する新たな指針を策定したと発表した。

 ブライアン・アゲラー代理大使と呉志中代表の話は「インド太平洋地域の安定、台湾の新型コロナウイルス対策の成功事例、台湾の国際参与の拡大、台湾の経済・貿易の実力、普遍的価値の共有など多岐にわたった」という。

 イギリスの国防省は、最新鋭空母「クイーン・エリザベス」を中心とする空母打撃群を5月以降に極東に派遣して日本に寄港させる計画を正式に発表している。フランスもまた強襲揚陸艦「トネール」で構成された上陸準備団を極東に向かって派遣し、この5月に日米仏の連合上陸訓練を実施する予定となっている。ドイツもまた8月にフリゲート艦を極東に送る予定となっている。

 これは中国抑止を目的とする英国やフランス、ドイツなどによるインド太平洋地域への関与強化の一環であり、米国在外公館のヤング駐日臨時代理大使やアゲラー駐仏代理大使の動きもその一環で、「自由で開かれたインド太平洋」の要衝にある台湾との関係強化のための動きとみなしていいだろう。

—————————————————————————————–呉志中駐仏代表、駐仏米国大使に招かれて公邸へ【Taiwan Today:2021年5月3日】https://jp.taiwantoday.tw/list_photo.php

 台北駐フランス代表処(=フランスにおける中華民国大使館に相当)の呉志中代表(=駐仏大使に相当。写真右)は4月30日、在フランス米国大使館のBrian Aggeler代理大使(左)に招かれ、大使公邸で昼食のもてなしを受けた。台湾の駐仏代表が在フランス米国大使館の大使公邸に立ち入るのは1979年の中華民国(台湾)と米国の国交断絶後、初めてのこと。

 Brian Aggeler代理大使と呉志中代表の話題は、インド太平洋地域の安定、台湾の新型コロナウイルス対策の成功事例、台湾の国際参与の拡大、台湾の経済・貿易の実力、普遍的価値の共有など多岐にわたった。Brian Aggeler代理大使は、WHO(世界保健機関)を含む国際組織への台湾の参加を支持する立場を改めて示した。(台北駐フランス代表処フェイスブックより)

※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。


投稿日

カテゴリー:

投稿者: