バイデン政権がトランプ政権による米台連携強化路線の継承を表明

 米国国務省は1月23日、この日、13機もの中国軍機が台湾の防空識別圏に侵入したことを受け「中国の台湾への軍事圧力は地域の平和と安定を脅かす」(PRC Military Pressure Against Taiwan Threatens Regional Peace and Stability)という声明を発表した。

 この声明で「われわれは北京に対し、台湾への軍事・外交・経済的圧力を停止し、台湾の民主的に選ばれた代表者と有意義な対話を行うことを要請する」と表明するとともに、「三つの米中共同コミュニケ、台湾関係法、6つの保証で示された米国の長年の責任を継続する」とも述べていて「台湾が十分な自衛能力を維持するのを引き続き支援してゆく」(中央通信社)との立場を明らかにした。

 この声明は、国務長官に指名されたアントニー・ブリンケン氏(元国務副長官)がまだ上院で承認されていない状況下での国務省の声明で、「米国の台湾への関与は盤石(rock-solid)であり、台湾海峡の両岸や地域の平和と安定の維持に貢献していく」と強調していることから、産経新聞は「バイデン政権として、中国の脅威をにらんだトランプ前政権による米台の連携強化路線を継承していく立場を鮮明にしたものだ」と伝えている。

 台湾の外交部もそのように受け止めたようで「バイデン政権が台湾への支持、台湾の国防や台湾海峡の平和と安定への高度な重視を表明したとして感謝を表明」したという。

 ちなみに、上院の公聴会で「中国に台湾侵攻の決定を下させないために力を尽くす」と述べた国防長官指名のロイド・オースティン氏(元中央軍司令官)は、1月22日に93対2の賛成多数によりで承認されている。

 下記に1月23日の国務省声明と中央通信社の記事をご紹介したい。

◆PRC Military Pressure Against Taiwan Threatens Regional Peace and Stability https://www.state.gov/prc-military-pressure-against-taiwan-threatens-regional-peace-and-stability/

—————————————————————————————–米、中国に台湾への圧力停止を要求 外交部、バイデン政権に感謝【中央通信社:2020年1月24日】

 (ワシントン中央社)米国務省のプライス報道官は23 日、「中国の台湾への軍事圧力は地域の平和と安定を脅かす」とする声明を発表し、台湾への圧力を停止するよう呼び掛けた。20日に発足したばかりのバイデン政権が早速、台湾を支持する声明を出したことに外交部(外務省)は謝意を示した。

 声明は中国が「台湾を含む近隣国・地域を威嚇しようとしている」ことに懸念を表明。その上で、台湾への軍事、外交、経済的な圧力を停止し、「台湾で民主的に選出された代表と有意義な対話」をするよう中国当局に求めた。

 また、三つの米中共同コミュニケ、台湾関係法、6つの保証で示された米国の長年の責任を継続するとし、十分な自衛能力が維持できるよう台湾を支援し続けるとの立場も示した。

 これを受け、外交部は報道資料を出し、バイデン政権が台湾への支持、台湾の国防や台湾海峡の平和と安定への高度な重視を表明したとして感謝を表明。バイデン政権と密接に協力していく姿勢を示した。

 国防部(国防省)は23日、中国軍機13機が同日、台湾に飛来し、台湾南西の防空識別圏(ADIZ)に入ったと発表。1日に飛来した数としては過去4カ月で最多だった。

(江今葉、游凱翔/編集:楊千慧)

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