シュライバー前米国防次官補が日米台安全保障対話で情報共有と協力強化に言及

 12月8日、台湾の「遠景基金会」、日本の「日本国際問題研究所」、米国の「プロジェクト2049研究所」はオンライン方式で「インド太平洋安全保障対話」を開催、蔡英文総統が開会式で挨拶し、閉会式ではランドール・シュライバー前米国防次官補が挨拶した。

 中央通信社は、蔡英文総統が香港の民主活動家の黄之鋒氏らの逮捕に触れ「民主主義を守るか、権威主義の脅威に屈するかだ」と述べるとともに「台湾が日本とさらに密接なパートナー関係を築き、伝統的・非伝統的脅威に共同で立ち向かっていけることを願った」と対日関係に言及したことを報じている。

 また、シュライバー氏は「台湾を失うことはインド太平洋地域の安全に重大な影響をもたらすと力説。また、中国が台湾の併合に成功すれば、日本も琉球列島や宮古海峡などの防衛が難しくなると指摘したほか、3者間の情報共有と協力を強化する必要性も訴えた」と伝えている。

 ちなみに、シュライバー氏は昨年12月に国防次官補を退官し、2008年に設立したアジア安全保障政策シンクタンクの「プロジェクト2049研究所」所長に再就任している。本年2月17日から21日にかけ、退官後初めてとなる海外訪問で台湾を訪問、シンクタンク「国防安全研究院」で、米台関係やインド太平洋地域の安全保障強化について講演している。

 なお、ロイター通信は、このシンポジウムにはオバマ政権で東アジア・太平洋担当の国務次官補をつとめたカート・キャンベル氏も参加していたと伝え、「台湾との強固な関係を維持することの深い戦略的意義と利益を理解している多くの人が党を超えて存在すると述べた」と報じている。

—————————————————————————————–米台日は「輸出規制」で中国の「軍民融合」に対抗せよ=前米国防次官補【中央通信社:2020年12月8日】https://japan.cna.com.tw/news/apol/202012080008.aspx

 (台北中央社)ランドール・シュライバー前米国防次官補が8日、中国の海洋進出を念頭に、米国と台湾、日本は、サプライチェーンの安全を確保したり、北京当局が進める「軍民融合」(軍と民間企業の協力促進)政策に輸出規制で対抗したりするなど、安全保障分野において何らかの対策を取れるとの見解を示した。

 台湾の「遠景基金会」、日本の「日本国際問題研究所」、米国の「プロジェクト2049研究所」、3つのシンクタンクが同日オンライン方式で共催した「インド太平洋安全保障対話」で、閉会のスピーチとして述べた。

 シュライバー氏は、米台日には、3者が力を合わせて中国からの挑戦に対応すべきという共通認識があると述べ、台湾を失うことはインド太平洋地域の安全に重大な影響をもたらすと力説。また、中国が台湾の併合に成功すれば、日本も琉球列島や宮古海峡などの防衛が難しくなると指摘したほか、3者間の情報共有と協力を強化する必要性も訴えた。

 そして、米日同盟と米台パートナーシップは米国で党派を超えて支持されていると強調し、きょう出された各種の意見は、参考として米国の次期政権や日本の菅義偉内閣に提出する価値があると述べた。

(陳韻聿/編集:塚越西穂)

※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。


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