事を紹介している。
台湾のパソコンメーカーの技術者が、外からは見えないパソコンの基盤に「GOD BLESS
JAPAN(日本に神のご加護を)」という祈りの言葉を記していたという。筆者は、前ライブ
ドア社長の元平松庚三(ひらまつ・こうぞう)氏。
こういう台湾を知ると「だから台湾が好き!」と言いたくなる。東日本大震災への200億
円を超える義捐金を寄せていただいた台湾の人々の真情を、また垣間見た。
台北事務所ブログと「フジサンケイビジネスアイ」を併せて紹介したい。ブログには
「GOD BLESS JAPAN」と記されたパソコン基盤の写真も掲載している。
日本に神のご加護を
【台北事務所ブログ:平成24(2012)年6月27日】
http://twoffice.exblog.jp/18500076/
今朝(6月27日)の産経新聞姉妹誌『フジサンケイビジネスアイ』に「台湾製パソコン基
板、小さな字で『日本に神のご加護を』」という記事が掲載されました。
実はこの話題、ネット上ではかなり前から知られていましたが、新聞に掲載されたこと
でより大きな話題になりそうです。
舞台は台湾を代表するパソコンメーカーのASUS。記事によると社員の独断によるも
ので、会社も黙認したとか。
震災から1年と4ヶ月ほど。こうした台湾からの隠れた支援がきっとまだまだ埋もれてい
ると思うと、感謝しても感謝しきれません。
台湾製パソコン基板、小さな字で「日本に神のご加護を」
【フジサンケイビジネスアイ:平成24(2012)年6月27日】
私たちの知らないところで、私たちの知らない人が、私たちが遭遇した困難のために祈
ってくれている。東日本大震災に際して、世界中の人々から多くの救いの手が差し伸べら
れたことは記憶に新しい。が、私たちが知らないこんな話もあった。(フジサンケイビジ
ネスアイ)
先日、フェイスブックの会員の間で反響を呼んだ1枚の写真があった。写真は何の変哲
もないただのパソコン基板。だがよく見ると小さな字で「God Bless Japa
n(日本に神のご加護を)」と祈りの言葉が印刷してあったのだ。
基板とはパソコン内部に装填(そうてん)されている主要部品で、普段はまったくユー
ザーの目に触れることはない。そこに日本への思いやりのメッセージがあった。
会員からは次々と「ありがとう。感激です」「感動した」など感謝のコメントが書き込
まれた。同時に、いったい誰が、何のために、パソコンの内部基板にこのようなメッセー
ジを印字したのだろうかと、大きな話題となった。
「日本に神のご加護を」と印字された基板を搭載したパソコンを製造したのは台湾のA
SUSで、同社も日本から問い合わせがあるまではこの事実を認知していなかったよう
だ。ASUSによれば、印字は同社の技術者が独断で行ったことで、誰かは特定できてい
ないがたぶん日本の一日も早い復興を祈ってやったのだろうとのことで、本件は黙認して
いるそうだ。
一人の台湾人技術者が独断で思いつき、会社の許可も得ずに印字した日本の復興を祈る
メッセージが、マスコミではなくソーシャルメディアを通して日本人の心を揺さぶった。
「神のご加護を」は日本では一般的な言葉ではないが、英語圏では最もなじみの深いフレ
ーズの一つで、God Bless JapanのスローガンはTシャツやポスターのデ
ザインとなり、Pray For Japan(日本のために祈ろう)とともに世界中で
東日本大震災の義援金集めの標語となった。
ASUSは台湾の大手パソコンメーカーの一つで、同社には技術革新やイノベーション
の創出と並び謙虚、誠実、勤勉を訴える社是がある。デジタル新時代のリーディングカン
パニーを目指すと標榜(ひょうぼう)する一方で、企業人として誠実さと勤勉さを忘れま
い、と明確に会社の哲学を従業員に訴えている。
台湾の技術者は何を思って「日本に神のご加護を」という文字を印字してくれたのだろ
うか? 大災害への同情心からか、日本に多くの友人がいたからか、それとも単に日本が
好きだからなのか? そして、考えてみた。もし台湾に大災害が起こり、日本の技術者が
誰の目にも留まらないだろうからと、会社の許可も得ず、「ガンバレ台湾」と台湾向け製
品の基板にメッセージを印刷したら、会社は黙認するだろうか?
ASUSの社是「Integrity(誠実)」が重く、価値あるものに感じられた。
(実業家 平松庚三)