るく、希望が持てたことでした。
次に、思ったことは、やはり、教育というものが、いかに大切かということでした。教
育次第で、考え方が左右されるということがよくわかりました。我々、戦後生まれの世代
が受けた教育と、それ以降の世代の受けた教育の差がマイナスの方向に広がっているとい
うことを思い知らされました。
たくさんの本を読んでおられるようです。本の種類にもよりますが、読んでいる人と、
そうでない人との差が歴然と出てきた一つの例かもしれません。
活字を追うということは、想像力をかきたて、言葉で考えることになると思います。
このことは、私がよく知っているある評論家が言っていることであります。本を読むとい
うことは、能動的に、様々な情報を得るということになります。それで、自分の頭で考え
、情報を自分で選び、分析することが出来ます。
学校のように、受動的に教えられるだけで終わると、表面は解りますが、物事の本質が
見えなくなり、先生の考え方、思想だけが本当のことと思い込むことになります。
テレビもそうだと思います。一方的に見るだけだと、やはり、それで考えることをやめ
てしまいます。
本は、解らなければ、もう一度でも、何度でも読み返すことができます。反対の見解を
書いている本も探して、読むことも出来ます。
田中さんは本を読む習慣が、おありのようです。また、歴史がお好きだということです。
昨今、よく言われることですが、歴史には光の部分と、影の部分があるということに田
中さんは、既に、お気付きのようです。
この地球上に光だけの歴史を持った国なんてどこにも有りません。しかし、そのように
うそぶいて国民を統制している国は、ままあります。反対に、影の部分だけを、強調して
子供たちに教えている輩がいる国もあります。それが自虐史観に凝り固まって、自分の国
を貶めて、若い人々の柔軟な考え方や思考の回路を断ち切っているわけで、それが、国家
にとって、ひいては、自分たち国民にとって重大な損失になります。
確かに、台湾の人々、特に、日本教育を受けた70歳以上の人は親日です。大の字がつく
ほどです。蔡焜燦さんは「愛日」と言ってはばかりません。こちらが恐縮するほどです。
それを聞いて、有頂天になってしまっては、その人はそこで思考回路が止まってしまいま
す。
そこで、これは何なのだと考える人は、そこから、思考が次の段階にすすむわけです。
そして、次の行動が、本を読んだり、直接、台湾に行って話を聞いたり、自分の目や耳で
、確かめたりする事になるわけです。
私の場合は、台湾に行ったのが先でした。それから、これって何なのだと、本を読んだ
り、再々、台湾に行ったり、いろんな人の話を聞いたりしました。それでも、確かに、光
の部分だけしか見ていないきらいはあります。
しかし、台湾に関して言えば、台湾の人は日本時代を誉めそやすのは99%本当です。お
世辞でも、外交辞令でもありません。裏もありません。夢でも、フィクションでもありま
せん。
唯一つ、日本とアメリカの後押しで、国家として世界で認められ、アジアの平和の一員
として、寄与したいという想いが、あるのです。台湾は実際その資格と実力は十分過ぎる
ほどにあります。選挙で無血で民主主義を勝ち取った国なんです。ですから、本心だと思
って間違いないことだと確信します。
あとの1%は、影の部分を許してくれていたり、忘れたり、意識的に避けていたり、そ
の意識の構造がわかるのは、それぞれの人に聞いたり、本を読んだり、現地で調べたりで
、やはり、歴史の深部を知ることが大切だと、思います。
一つだけ、ポイントとして、台湾の戦後すぐに起きた228事件、その後続いた白色テ
ロを知ることは大事だと思います。
さすが、田中さん、鋭い洞察力です。民度の低い為政者たちが、近代的な教育を受けた
人々を統治する悲劇を、見抜いています。統治者に対する比較の問題なのです。
それから、タイのカンチャナブリの捕虜収容所のことです。現在は、あの周辺は泰麺鉄
道の観光地として開けて、明るく、活気に満ちています。大東亜戦争のころの、その地域
は、おそらくジャングル地帯で、兵隊でも、捕虜でも、悲惨な思いをして、暑さや、マラ
リヤなどの病気、毒虫、と戦っていたと思います。虐待があったとしたら、それは、素直
に反省し、謝罪なり、裁きを受けなければなりません。仮に、東京裁判が正しかったとす
れば、そのようなことは、裁かれて、決着はついていると思います。
田中さんは泰麺鉄道に乗られたかどうかわかりませんが、去年、11月、私が、乗ったと
きに車内で、いただいた「誇りの証書」に書いてあったことが印象に残りました。
それには、「この悲惨な歴史を持つ泰麺鉄道を、訪れた幸運な旅行者です。戦争の惨禍
を乗り越えこの豊かで、平和な地に降り立ったことを祝福します」というようなことが書
いてありました。それは、タイ国観光公社総裁と、タイ国有鉄道総裁、県知事の名の下に
書かれた文面でした。
この、メッセージに私は感動しました。確かに、戦争は悲惨な結果をもたらすことのほ
うがずっと多いのです。植民地など、どのような理由をつけても、してはいけないことな
のです。
タイ国はアジアの中で日本とともに殖民地統治を受けなかった国と聞いています。タイ
国は、ほとんどが仏教徒の、微笑みの国と言われるほど、優しい心を持った人々が住んで
いる国です。去年、クーデターが起きましたけど、私は家内と、安心して、訪れました。
台湾の人々も、タイ国に似たような国民性を持っているような気がします。
全体的に、アジアの人々はおとなしく、温和な性格を持っています。アジアの国々は日
本の「侵略」を今でも根に持って、怨んでいるということは、大半の部分で、捻じ曲げら
れている情報だと思います。戦争や殖民統治は今となって、もう取り返しはつきません。
でも、大事なことは、当事国ばかりでなく、全世界が、先ほどの文面に書いてあるよう
に、その不幸だった出来事をどうやって、乗り越えて、克服して、簡単に言えば、仲良く
やっていくかということなのです。
人間の性として、戦争・紛争は未来永劫、続くかもしれません。いつまでも、一方的に
、あるいは、お互いが、ののしりあい、罪や、不幸を暴きあい、政治の道具にすることは
、何のメリットも無いし、かえって、お互いが、さらに不幸になり、幸福や発展は生まれ
ないのです。
幸いにも、日本は戦後、平和を保ち、一度の戦争もせず、世界の平和のために、貢献し
てきたと、確信しています。
日本に課された役割は台湾と手を携えて、いい意味でのアジアの模範となり、リーダー
になって、この地域の、平和と安寧と、幸福と、発展に寄与することなのです。
それには、田中さんのような若い方がどんどん日本の外に出られて、貢献することだと
思います。まず、台湾から始められることは、ある面では、大変良いことです。
どうか、初心を忘れずに、勉学に励んでください。田中さんの、これからの若者に期待
して下さいとの結びの言葉に、励まされた思いです。
我々の役目は、いろいろな活動を通して、情報を提供して、若い方の、少しでも役に立
つことだと思っています。 (3月2日記)
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